パソコン版を見る

三田学院

[2021年6月26日]

【都立中】ケチだと幸せになれない

失われた20年が、失われた30年になろうとしている。

バブル経済崩壊後、経済的な豊かさが向上していると感じている人は多くない。

それは、世界中の傾向だと思い込んでいる人が多いようだが、実はそうではない。

小石川の適性検査ではないが、指数化してみる。

1997年を100として、20年後の2017年の値を指数で示した、一人当たりの名目国内総生産額(一人当たり名目GDP)の推移だ。概数で示す。

日本:100 → 102

米国:100 → 190
英国:100 → 190
カナダ:100 → 190

ドイツ:100 → 162
フランス:100 → 160
イタリア:100 → 150

経済学の世界では、物価変動を調整した実質GDPを使うことが多いが、幸福度を比較する上では、名目GDPの方が、肌感覚には近いであろう。

指数計算すればすぐに分かることだが、米国や英国は平均年率で毎年3%成長している。ドイツやフランスは毎年1.5%成長、日本だけがゼロ成長である。

日本国内の物価上昇率はほぼゼロで推移しているので、実質GDPの伸びも、ゼロ成長である。

なぜ、日本だけが、成長できないのか?
なぜ、日本だけが、幸せになれないのか?

諸説あるが、どれも説明力が足りていない。

先進国においては、国内消費が拡大しないと、GDPは増加しない。

つまり、GDPが伸びないのは消費が伸びていないからと言える。

G7諸国では、人口が大きく増えているのは米国ぐらいだから、日本以外のG7諸国のGDPの伸びは、人口では説明できない。

技術革新による付加価値の伸び率の差で説明しようとしても、日本が技術革新で、G7諸国に大きく劣っているとは考えられない。

国内消費の伸びの低さが、諸悪の根源だと考えてよさそうだ。

では、なぜ国内消費の伸びが低いのか?

大胆な仮説を提唱してみる。

「日本人には、節約志向の極端に強い人が、非常に多いから」

どうだろう?

1人当たりGDPの大きな伸びが期待できないと、一人当たりの所得の伸びは期待できない。

所得の伸びが期待できないと、先回りして節約に励み、消費を抑えることになる。

事実、国民の個人金融資産は、この間にどんどん増え続け、2020年度には2,000兆円を突破している。

国の国家予算(一般会計)が年100兆円程度、国の総負債(赤字国債発行残高など)の累積額が700兆円程度だから、個人金融資産の額の大きさが分かる。

お金を使わないから、経済成長できない。
お金を使わないから、幸せになれない。

つまり、

ケチをしていると、幸せになれない。

結論として、

ケチは、幸せになれない。

節約志向が強すぎると、必要な支出まで躊躇するようになる。

必要な支出をしないと、どんどん不幸せになって行く。

あなたが幸せになれないのは、ケチだからかもしれない。

世の中が幸せになれないのは、多くがケチだからかもしれない。

自分だけケチなら、幸せになれるかというと、そうはいかない。

自分だけがケチをすることは、現実的にはできないからである。

だれかがケチをしていると、周りもケチをしだすのが、日本人の良い所だから。