[2021年7月13日]
学力差が生まれる原因は何か?
適切に議論されつくされているとは思えない。
学力差は、学力格差と表現されることが多い。
何でも格差と呼べばよいというものではない。
学力格差を、家庭の所得格差で説明しようとする向きがあるが、実に怪しい。
東京の都心部は、平均所得は日本の中でも最高水準にあるが、東京都心部の小学生や中学生の学力は、日本最高水準ではない。
職業がら、いろいろなご家庭の子どもと接する機会が多いが、所得が高いご家庭の子どもの学力が高いとは限らない。
おなじく、いろいろなご家庭の子どもと接する機会が多いが、学歴が高いご家庭の子どもの学力が高いとは限らない。
ある一定の所得以下では、所得金額に比例するかのように、所得が低いと学力が低いという関係はありそうだ。
しかし、ある一定の所得以上になると、所得と学力の相関関係は緩くなるか、ほとんどないのでないかと思う。
一定の所得以下では、基本的な生活基盤がそろわず、親が仕事で忙しく子供の養育に手が回らないとか、生活に必要な食糧や物資が十分でないために子に心身ともに余裕がないとか、将来に希望が全く持てないような家庭内の雰囲気が子の意欲を失わせているとか、いろいろな要因が、学力の育成を阻んでいる可能性はある。
しかし、一定の所得を超えると、裕福とまでは言えなくても、日々の生活を送ることに支障がないケースがほとんどとなり、所得がより多くなっても家庭における教育基盤がそれに比例して良くなって行くわけではないので、所得の多寡が学力に与える影響は、所得が高くなるほど低下していくと思われる。
所得格差が学力格差に直結する可能性があるのは、低所得家庭に限られるのでないだろうか。
中所得家庭や高所得家庭において、学力格差を生んでいるのは、所得格差ではないと思う。
精密なデータが手に入るなら、適切な解析すれば一目瞭然になるはずなので、教育学や教育社会学の研究者の真摯な取り組みに、期待したいところではある。
ただ、現場における直感として、経済格差が学力格差に直結しているのは低所得家庭のみ、と強く感じている。
学力格差の原因は、所得格差ではない。
では、中所得家庭や高所得家庭で起こる学力格差の原因は何か?
その原因の中に、学力向上に必要な重要要素が隠されている。
言えば、喜ぶ人もいれば落胆する人もいるだろう。よって、落胆しかねない人に配慮して、ここでは書かない。
遺伝などとは言わないので、ご心配はいらない。
兄弟姉妹間でも、学力格差が大きい事例は、いくらでもある。
だから、学力格差の原因は、遺伝格差でもない。
今回は、そうとだけ、言っておこう。