[2021年7月15日]
再生可能エネルギーは環境問題や資源問題解決の切り札となるのだろうか。
環境問題を解決するために、再生可能エネルギーの利用促進が有効である、云々。
資源問題を解決するために、再生可能エネルギーの利用促進が有効である、云々。
しばしば、そうした意見を聞く。
本当だろうか?
例えば、太陽光発電でも風力発電でも波力・潮力発電でも、設備の耐用年数を考慮した発電能力(総発電量)と、設備の生産や設置や運営にかかるコストや環境負荷などを天秤にかけると、まだまだ化石燃料による発電より、環境負荷が小さいとは言い切れないのではないだろうか。
原子力発電も二酸化化炭素の排出量は少ないが、環境負荷が小さいとは言えない。どちらかと言えば、エネルギー安全保障の観点から、原子力発電は有効なのだろうと思うわれる。フランスは電力のほとんどを原子力でまかなっている。
バイオ燃料は、大規模な発電装置は必要ないので、環境負荷が小さいように感じられるかもしれない。しかし、植物などを原料とするのだから、生態系への負荷も考慮に入れなければならない。世界的な食糧不足や水不足まで考えると、環境負荷が小さいとは言えない。そもそも穀物価格などが高騰する要因になりかねず、食糧危機に拍車をかけるリスクもある。
伝統的な水力発電はどうか。適性検査でも出題されているが、川の生物の生態系を破壊するので、別の意味で環境問題を生み出す。降雨量の少ない地域では成立しないので、あくまで補完的な代替発電方法でしかない。
再生可能エネルギーの比率を高めようとしても、現実的にはいろいろな課題があって、なかなか利用が進んでいない。
再生可能エネルギーの利用促進が進んでも、どこかで比率は頭打ちになるだろうから、2030年とか、2050年とかまでに、再生可能エネルギーだけで環境問題を解決するのは、かなり難しいだろう。
そもそも、資源が本当に枯渇するのかどうかも、怪しい。随分前から、あと数十年で石油が枯渇すると叫ばれ続けてきたが、いっこうに枯渇する気配はない。むしろ、シェール・ガスやシェール・オイルなど、新たな化石燃料の利用が進んでいるくらいだ。
温暖化で永久凍土に封じ込まられていたメタンガスが、大量に大気中に放出され、地球温暖化が加速すると言われているが、メタンガスは都市ガスの主成分でもあるので、有効利用する技術開発を進めるという選択肢もありえるのでないだろうか。
二酸化炭素が地球温暖化の悪玉にあげられるが、中学受験理科の基礎中の基礎知識として、大気中の二酸化炭素の比率はごく微量である。
窒素:78%
酸素:21%
アルゴン:0.93%
その他:0.07%
二酸化炭素は「その他」に含まれる。
この程度であれば、技術開発により、大気中の二酸化炭素を回収することも可能なのではないだろうか。なぜ、そちらの道へ進もうとしないのだろうか。
そもそも、大気中に二酸化炭素がなくなってしまったら、植物や植物プランクトンが光合成できなくなるので、地球上の生態系は破滅する。
化石燃料を代替するエネルギーは、再生可能エネルギーなどに限らず、技術革新により経済的な採算が取れるようになりさえすれば、また化石燃料よりも経済性が高くなれば、爆発的に利用が促進される可能性はある。
化石燃料の利用削減は、環境問題解決のためではなく、産油国への政治的かつ経済的な圧力をかけるためなのではないかと、疑ってみたくなる。
最近、理工学を目指す優秀な学生が、情報工学分野を志向する比率が高まっているが、資源工学やエネルギー工学分野を目指すのも、将来的に面白いのではないだろうか。
マイクロソフトや、アップルや、グーグルの創業者のような大富豪が、将来に新エネルギー分野から誕生するかもしれない。
誰もが思いつくような考えでは、地球も人類も、救えそうにない。