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三田学院

[2021年7月19日]

【都立中】自動車の電動化は地球を救うか

自動車の電動化は地球を救うだろうか。

欧州の自動車大手が、軒並み電動化へ舵を切る。

国内でも、登録車販売台数大手の二番手が近い将来の完全電動化を宣言し、三番手はすでに電気自動車や電動駆動のハイブリッド車を主力としている。

ハイブリッドで世界をリードしてきた国内一番手は、実は全面的な電動化には否定的な立場だ。次の主力に燃料電池車を据えている。

国内では販売台数ベースで最も売れているのは軽自動車である。しかも、軽自動車のほとんどは、本格的なハイブリッド車でも、電気自動車でもない。

業務用車両になると、もっと実態は厳しい。

長距離トラックは、いまだにディーゼルエンジン車が主力である。近距離配達車両や路線バスも、エンジン車が多いままだ。

障壁になっているのは、コストであろう。

仮に、業務用車両も100%電動化しても、電力が火力発電で賄われていたら、化石燃料に依存したエネルギー消費であることに、なんら変わりはないことになる。

つまり、電力の供給で「脱化石燃料」を達成しない限り、いくら自動車を電動化しても、環境負荷は大きく変わらないのだ。

ただ、ガソリンや軽油への依存が、天然ガスや重油などへの依存に置き換わるだけだ。

もちろん、街中を走る車のほとんどが電動化すれば、市街地の排ガスによる環境汚染は緩和するだろうから、その観点からは大いに意味がある。ただし市街地の大気汚染がいくらか緩和しただけでは、抜本的な解決にはつながりそうにない。

最近気になるのは、高機能な化学繊維衣料の人気である。低価格で高機能だから、人気なのだろう。しかし、化学繊維のおもな原料は化石燃料である。なぜ、化学繊維を禁止するような動きは起きないのだろうか。使用後にゴミとして廃棄され焼却される際には、環境負荷の大きいい物質が大量に放出されることになる。

植物由来のプラスティックなどの技術も開発されているが、普及が進んでいるとは言い難い。木綿なのどの天然素材は安く手に入るだろうが、快適性では化学繊維に勝てないようだ。

プラスティックのリサイクルも進んでいるが、技術的に100%のリサイクルはできない。40〜50%程度のリサイクル率で頭打ちになるという研究もある。

であれば、なおさら、化学繊維やプラステッィク製品も禁止た方がよいのではないだろうか。しかし、そこが議論の中心になる気配はない。

いろいろな側面から総合的に判断すると、地球温暖化対策とか環境対策とかと、声高に叫ばれながらも、対策のほとんどは茶番の域を出ていないように思う。

人類は本気で、地球温暖化や環境破壊を、止める気があるのだろうか。

実は、本気で止める気など、ないのではないだろうか。