[2021年8月24日]
来春入試を展望する。
2022年度(2022年1月と2月)入試の様相が徐々に明らかになりつつある。
私立中学入試では、ここ数年的中させてきた予想の延長線上の動きが、さらに鮮明となりそうだ。
男子校では、高輪が、さらに難化する。
女子校では、山脇が、難関校入りする。
両校は、近年の首都圏中学受験者数の増加の影響を、最も強く受けることになる。
一方で、私立男子校と女子校ともに、私立御三家校に大きな難易度変化はない。私立共学最難関校も大きな変化はない。
私立中学入試では、偏差値63から68くらい(しゅともし偏差値)の難易度帯が、来春の超激戦地帯となりそうだ。
まさに、最難関都立中を除く、多くの都立中の難易度帯と重なる。
私立最難関校には大きな変化がない中、都公立中高一貫校は、さらに難易度を上げる勢いだ。新型感染症の影響で、倍率自体は下がり気味となりそうだが、難易度はむしろ上昇する見込みだ。
難易度上昇の最大の要因は、難関私立受験生による、都立中併願率の上昇である。
小石川、武蔵、桜修館、九段が、特に要注意だ。
もはや、牧歌的な公立中高一貫校への憧れは、通用しない。
並行して、都立高校入試も、厳しさを増している。
都立高校進学校は、軒並み激戦化している。
都立高校進学校は、多くが、倍率の上昇を伴いながら、難易度が上昇している。
都立高校でさえあれば、どの学校でも、どの学科やどのコースに進んでも構わないのであれば、それほど苦労はしないだろう。しかし、そうした不人気都立高校を選ぶ受験生親子は多くない。
不人気都立高校よりも、低偏差値私立高校を選ぶ傾向が、続いている。入試シーズンの早い時期に、実質無試験で、合格を受け取れることが、最大の要因だろうと思われる。
進学校に届かない都立高校第一志望受験生にも、悲しい運命が待っている。
高校入試における「二極化」こそ、激しく進んでいるのだ。
都内では、どこかの公立中高一貫校に合格するよりも、都立高校の重点心学や特別推進校に合格する方が、総じて難しい。都立高校推進校であっても、都内公立中高一貫校のボトム校並に、難しい。
つまり、都内公立中高一貫校の残念組のほとんどは、次は、都立高校進学校でも残縁組になる、ということだ。
都立中に残念になったら、都立高(進学校)でリベンジすればよいという考えは、かなり甘い。
都立中に合格できなかった受検生の多くは、高校受験でも進学校に進めない。
都立中を目指すなら、確実に合格を目指すべきだ。
都立高入試でのリベンジは容易ではないから、都立中が残念になった受検生は、併願合格した私立中高一貫の進学校に進む方が安全だ。
ただし、中学受験で、私立中高一貫校の進学校にも合格していなければ、その選択はできない。
都立中に合格できそうにない受検生や、私立中高一貫校進学校に合格できそうにない受験生は、初めから別の進路を目指した方が、幸せを手に入れられる可能性が高い。
少なくとも、「12歳の蹉跌」だけは、避けられる。
「12歳の蹉跌」は、想像以上に、過酷だ。
自分だけは大丈夫などと思わない方がよい。
そう思う人こそ、蹉跌を味わうことになる。