[2021年8月26日]
感染爆発が続く中で、新学期が始まろうとしている。
文部科学省は一斉休校には消極的だが、自治体の判断に任せるとしている。
ここにきて、夏季休業延長、臨時休校、分散登校、短縮授業、リモート授業、そして部活動を制限する動きが、いっきに加速しそうな情勢だ。
公立小中学校でも、パソコンやタブレットの配布が進むなど、リモート授業への対応が進んだが、内容に関しては、有名私立中高一貫校とは、雲泥の差のままだ。私立中高一貫校がリモート授業の充実を加速しているため、公私の差は縮まるどころか、むしろ拡大する傾向にある。
このことは、教育熱心な保護者の間では、今や常識となっている。
私立中学入試での志望校選択理由で、教育のICT化の状況は、判断基準の上位にランクされるようになった。
コロナ禍は、近年の中学受験率の上昇に、寄与する結果となっているのだ。
コロナ禍による教育予算への心配より、コロナ禍による教育内容への心配が、勝っているという状況だ。
コロナ禍だからといって、急に教育予算を増額するのは容易ではない。反対に、教育予算を崩して生活費に充填しなければならなくなった家庭もありそうだ。
フローが十分でない家庭では、早期から計画的に教育予算をストックするか、学資ローンを組む必要があるが、誰でも、年間平均100万円、6年間で約600万円になる私立中高一貫校の教育費を、用意できる訳ではない。
高額な私立中高一貫校の教育費を、短期間で用意できない場合、選択肢は3つとなろう。
1つ、中学受験を諦め、地元公立中学へ進学する。
2つ、公立中高一貫校を受検し、合格し進学する。
3つ、私立中高一貫校を受験し、特待で進学する。
1は、本気で中学受験を目指してきた受験生親子にとって、選択肢にならない。なるなら、そもそも本気でなかった可能性が高い。
2は、有力な選択肢になるばかりか、第一志望に変更する価値が高まっている。しかし、一定以上の学力がなければ実現不可能だ。
3は、幅広い学校選択が可能なので最有力候補となるが、希望に合う学校を見つけ出せる、情報収集力、情報分析力が求められる。
私立中高一貫校の特待を選ぶ決断は、思い込みの激しい保護者や、柔軟な判断ができない保護者や、情報収集分析力がない保護者には、かなり難しい判断となるだろう。
ひとつ、アドバイスしておこう。
高校入試の偏差値ランキング表と、中学入試の偏差値ランキング表を、並べて俯瞰してみることだ。
特待を出す私立中高一貫校は、高校募集もしている学校が多い。つまり、高校入試の偏差値ランキング表に学校名が載る。特待を出す私立中高一貫校の多くは、中学からより、高校から入学する方が難しい。つまり、中学入試の難易度は平易でも、高校入試の難易度は高いケースが多い。
学校によっては、中学からなら入れたけれど、高校からだと入れないというケースがありうる。
安易に地元公立中学から高校入試を選択すると、後で失敗したと思うことになりかねない。
よって、3の私立中高一貫校の特待をめざす戦略は、かなり満足度が高くなる可能性がある。
もうひとつ、アドバイスしておく。
3の、私立中高一貫校の特待を目指す場合、学力試験型入試の方が、条件の良い特待合格を取りやすいことがほとんどなので、4科は勿論だが、2科や単科で上位合格できる力をつける戦略の方が成功しやすい。適性検査型で挑むと、希望に叶う学校に特待合格するのは容易ではない。
特に、2の公立中高一貫校との併願戦略を組む場合も、3の特待合格を目指す私立中高一貫校は、学力試験型入試で突破する方が、お得となるケースが多くなる。
誤解しないでいただきたいが、2と3をともに目指す場合は、私立中受験専門塾での準備が必要と言っているのではない。私立中受験専門塾に通って、都立中を目指すと、都立中も私立中高一貫校もともに失敗するリスクを高めることになってしまうので、いさぎよく、私立一貫校に軸足を置いた方がよく、満足度が高い結果になるだろう。
都立中を軸に据えるなら、併願する本命私立中高一貫校は、新御三家レベルよりも少し下の難易度の学校に照準を合わせた方が、ともに合格を取りやすいだろうと思う。
例としては、男子なら、本郷や高輪などだ。