[2021年9月6日]
都立中の難易度が、私立御三家や私立新御三家なみになっていることは、日能研R4偏差値で、確認した。
当初は、難関私立中学を目指すような厳しい受験対策などしなくても、都立中なら合格できるというウワサが広がり、人気に拍車がかかったことは、まだ記憶に鮮明であろう。
しかしそれが、早期開校した一部の都立中の、しかも開校初年度や開校数年後までのことであったことは、いまでも十分に認知されているとは言い難い。
しかも、都立中の難易度は、その後もどんどん上昇し、今や九段などの中堅都立中の難易度が、当初から難関校であった小石川の5年以上前の難易度にまで上昇してきていることは、意外と知られていない。
もはや、牧歌的な受検生が合格できる見込みは、ほぼなくなった。
適性検査型入試を行ってい私立中高一貫校のうち、進学校は極めて少数に限られる。高偏差値校はほぼ皆無で、中偏差値校も数えるほどしかない。ほとんどは低偏差値校となる。
しかも、人気のある私立の進学校ほど、自校の教育方針がしっかりしていて、時代に媚びないので、自ずと都立中の適性検査とは一線を画す作問となり、適性検査型だからと安易に併願しても、誰もが合格できるとは限らない。
その代表格は、女子ならば、2月3日午後の共立女子だ。
都立中に合格できるレベルに達している受検生が、この共立女子の2月3日だけを受験しても、ほぼことごとく不合格になるであろう。見かけは適性検査型でも、2月1日と2月2日に4教科学力試験型で共立女子を受験するような、共立女子対策をしっかりしてきた受験生が圧倒的に有利だ。
都立中に落ちたら、地元中から高校受験というのも、誰でも気安く思いつくほどには、楽ではない。むしろ、都立中受検よりも厳しいと思った方がよいかもしれないほど、厳しい。
中学入試に必死に取り組んできて、また高校入試に必死で取り組むには、まず受検生のモチベーションが維持継続できることが条件となる。
これが意外と難しい。多くは中学入学後に緩み、闘わずして敗北していく。
都心部では、1学年100人規模の地元公立中学に入学し、3年後に難関高校に進学できるのは、多くて5人程度に限られる。それどころか、100人中約75人は、都立高校すら受験できず、実質無試験で合格できる私立高校に進学することになる。残る約20人は、中堅以下の都立高校や、商業科や農業科や工業化などの都立高校へ進学する。
つまり、最後まで高校受験を闘い抜けるのは、全体の20〜30%程度だということだ。
都立中学に不合格になったら、塾などには通わずに、自力で高校受験を突破すればよいという考えを、安易に子に押しつける保護者もいるようだが、自力で高校受験に成功できる高校受験生は、自己管理がしっかりできて、高いモチベーションを持ち続けれれる、極めてごく少数に限られる。
先に述べた、都立高校進学校に約5%、その他都立高校に約20%、低偏差値私立高校に約75%というのは、大多数が塾などで受験対策をした上での結果であるから、もし、すべて自力で取り組めば、さらに厳しい結果になるであろう。
子が頑張っている姿を見るのは親として嬉しい。
ただ頑張っているだけで満足している親もいる。
しかし、それは親のエゴでしかない。
子の幸せを本当に願うのであれば、親が嬉しい道ではなく、子が幸せになれる道を、子に進ませてあげるべきである。