[2021年9月14日]
しばしば耳にする「逆転合格」について考えてみる。
いつものごとく、独自の見解を述べる。
この逆転合格、最も話題になるのは、私立中学受験生親子の間で、ではないかと思う。
都立中学入試も、中学入試であることには変わりないから、気になる受検生親子も少なくないだろう。
しかし、すべてが入試における得点で決まる私立中学入試と違い、都立中入試では「報告書点」があるから、私立中学入試とくらべて、そもそも逆転合格できる可能性は低い。
たかが、20%や30%の比率でないかと思われるかもしれないが、「報告書点」は満点勝負、「適性検査」は実は60%勝負なので、正味では、20%や30%ではない。
桜修館を例に考えてみよう。
報告書点300点と適性検査700点での闘いだが、実際には、300×1.0と700点×0.6の闘いとなる。整理すると、300対420で、100対140、つまり5対7の比になる。42%と58%と考えてもよい。
つまり、合否の鍵は、報告書点が約4割を握っていて、当日の試験は約6割しか占めていない。
報告書点の高い受検生の中には、当日の試験で高得点を取れるように順調に仕上げられた受検生も少なくないだろうから、定員が少ない都立中においては、報告書点の高い受検生が有利となり、当日の適性検査で逆転できる受検生は多くはない。
つまり、都立中入試においては、逆転合格は非常に難しいことになる。
これは、都立高校入試においても言える。
都立高校入試は、報告書点300点と当日の5教科の学力検査700点で、合否を争う。
中学校では定期テストを実施し報告書点に加味されるから、都立中入試以上に、報告書点と当日の得点の相関が高くなる。
都立高校共通問題校では、当日の試験は概ね90%の闘いになるが、当日の試験で90%が取れる受験生が、定期テストで平均点程度しか取れないということは稀である。
報告書点90%で試験の得点90%なら、その比は3対7で、当日点で合否が決まるように見えるが、報告書点と試験の得点に高い相関があることから、概ね報告書点で合否のほぼ半分以上が決まると考えた方が安全であろう。
つまり、都立高校入試でも、逆転合格は、ほぼ起こらないのだ。
もちろん、当落線上においては、逆転や被逆転らしきことが起こる可能性があるが、それは全体の受験生の中のごく少数に過ぎない。
小学校高学年の学力は、そのまま中学校にも引き継がれるから、中学受験で成功できそうにないから、中学受験で失敗したから、高校受験で逆転合格を目指すというのも、簡単なお話しではない。
都立中学も、都立高校も、逆転合格をヨシとしない入学者選抜を行っていると言っても過言ではないだろう。
逆転合格を目指すなら、私立中学入試か私立高校入試を、念頭に置いた方がよいだろう。
下剋上も大歓迎の、ヤルかヤラレるかの闘いを歓迎しているのは、難関私立学校であるとも言えよう。
都立学校を目指すなら、逆転合格など夢見ないほうが、賢明なのだ。