[2021年9月18日]
中3は、2月末の都立高校合格発表まで、残り半年を切った。
私立高校単願受験生は、新年1月に合格発表がある。
最後まで高校受験を闘い抜くのは、近隣の地元中学では3割程度未満だ。
難関都立高校に合格できるのは、上位5%程度までに、とどまる。
大多数は道半ばで敗れ去り、推薦入試という名の実質無試験合格できる私立高校に吸い込まれていく。
そんな中、最後まで難関都立高校を目指して受験勉強を続ける受験生は、孤高の人となる。その孤独を勝ち抜いた者だけに、栄誉が与えられる。
ほとんどの高校受験生が受験する大手有名模擬試験の高校偏差値を示しておく。
60%合格可能性偏差値である。80%合格可能性偏差値ではないので、ご注意いただきたい。60%偏差値を80%偏差値に変換する際は、3ポイントほど加算するのが妥当であろう。
例として、日比谷の60偏差値が70のとき、80偏差値は約73、と見ればよい。
80偏差値で70を超える可能性があるのは、日比谷と西のみである。これに戸山と国立が頻差で続く。
<男子>
70:日比谷
69:
68:
67:西
66:戸山、国立
65:
64:青山、立川
63:新宿、八王子東
62:小山台、三田、駒場、国分寺
61:小松川、武蔵野北
60:城東、小金井北、調布北
59:
58:北園
57:
58:豊多摩
57:目黒
56:白鴎、文京
55:上野
・・・
*総合難易度は、換算内申が加味される。これはあくまで当日試験のみの難易度である。よって、偏差値が確保できていても、内申が確保できていないと、受験校選択においては、かなりの安全余裕度が必要になる。
都立中高一貫校の白鴎は、高校受験偏差値は56である。ここからも、都立高校進学校を目指す厳しさを感じ取ることができよう。
模擬試験で偏差値70以上の成績を収められるのは、分布の歪みを考慮しても、全受験生の上位から高々2%である。安定して70以上を維持できる受験生は、上位1%程度かもしれない。
中学受検や中学受験に失敗したら、高校受験でいい高校に進めばよいという目標は、ほとんどの人が達成できない。
今年度の中3塾生は、この模擬試験で、そろって安定的に偏差値70以上をキープできている。
彼らが偉いのは、慢心がないということだ。
「おめでとう」と声掛けすると、毎回のように「たまたまデキが良かっただけですと」と返事が返ってくる。しかも、安全確実に合格を取れる高校に目標を置いている。
高校受験では、冒険はできない。だから彼らの方針は正しい。
偏差値70越えの中3塾生にとって、見えている世界は、凡人たちとは違うようである。
全落ちしたら地元公立中学に進めばよいという戦略は取れない。地元公立中学に相当するセーフティ・ネットは、高校受験では私立の通信制高校である。多くは高校卒業資格を得られないまま、社会に出ていくことになる。
生きるか死ぬかの真剣勝負で、日比谷の男子なら倍率2倍超え、三田の女子なら倍率3倍超えの闘いになる。戸山の男子は2倍前後、青山の女子も2.5倍前後と、例年、公立高校としては異常な高倍率となる。地方公立高校出身の保護者には、理解できない厳しさかもしれない。
必然的に、圧倒的な力がありながらも、血だらけの戦闘を余儀なくされる。大東亜戦争時に「ペリリュー島」の上陸作戦を敢行した米軍精鋭上陸部隊のように、多くが倒れることになる。
米軍は、空と海を制圧できていたにもかかわらず、地上部隊の主力を担った全米屈指の最強エリート部隊、第一海兵隊連帯が、この戦いで全滅してしまった。米軍にとって悪夢の史実である。まさか全滅するとは、夢にも思わなかったであろう。
迎え撃った日本軍は、パラオ本島に師団司令部を置く陸軍第14師団の、その分隊にすぎない第二歩兵連隊のみであった。この戦いで大きな打撃を受けた米軍は、日本陸軍第14師団の本隊が陣を敷くパラオ本島の攻略を諦め、フィリピン上陸作戦へと方針を変更していく。
難関都立高校の闘いは、ペリリュー島の戦いで壊滅した米国精鋭部隊の姿を、彷彿とさせる。
甘く見ると、痛い目に合う。
倍率3倍なら、試験会場における席の両隣の受験生が倒れる。そのれは、あなたである可能性が、大いにあるのだ。