[2021年9月21日]
東京都内では、コロナ禍において、空前の中学受験ブームが起きている。
来春の中学受験の受験者数は、史上最多に迫る勢いだ。このままの勢いが続けば、現小5か現小4は、過去最高の中学受験者数となりそうだ。いずれにせよ、来春は、相当な激戦となることが予想される。
特に、多摩地区の中学受験者数が、大幅な増加となりそうな気配だ。
長引くコロナ禍で、分散登校やリモート登校が続く中、質と量ともに、有名私立中学などに対応が劣る地元公立中学の教育体制に、保護者の不安が広がっていることが背景にある。
もう一つ、公立中高一貫校の入学難易度の大幅上昇で、相応に優秀な受検生でも、残念になるケースが増加しており、そうした優秀な受検生が、私立中学の併願志向を強めたことも、背景にありそうだ。
ただ、最終的に私立中学への入学者数がどれだけ増えるかは未知数だ。難関私立中学は、ブームだからといって定員が増えるわけではない。どんな状況下にあっても、最上位の優秀な受験生で合格定員がすべて埋まってしまう。増えた受験生が難関私立中学の合格を勝ち取れる可能性は高くない。
満足できる私立中学に合格できなかった場合でも、合格できた私立中学に進学するかどうかは、現時点では読み切れない。
入学定員数などから推計すると、増加した受験生の多くは、中堅や中位の私立中学からしか合格をもらえないだろうと思われるので、入学辞退者数も相応に増えると思われる。
また、有名私立中学は、都心部や都心部周辺に立地していることが多いので、コロナ禍が続くと予想される中、多摩地区から長距離通学を覚悟で私立中学に通う決断をするかも、読みずらい。
都心西地区や、23区西地区など、多摩地区からも通学しやすい中堅や中位の私立中学が、難易度を上げることになるかもしれない。
さらに、公立中中高一貫校の受検生は、親子ともに、共学校志向が強い傾向にある。このため、西よりに立地する中堅や中位の共学校が難易度を上げる可能性がある。
中堅や中位の私立男子校は多くない。反対に、中堅や中位の私立女子校は非常に多く、入学定員も大きい。
このため、空前の中学受験ブームの中では、女子は中位の女子校を併願しておくと安心だろう。
一方で、男子は、男子校も、共学校の男子枠も、激戦となる可能性が高い。このため、中堅上位や難関校の中ではやや平易な私立校に狙いを定めた方が、より成果が期待できそうだ。
埼玉や茨城でも、公立中高一貫校の新規開校が続き、空前の中学受験ブームの気配となっている。
増えた受験生が、希望通りの結果を勝ち取れる可能性は、高くない。
空前の中学受験ブームで、中学受験生や中学受検生は、大手塾志向を強めているようだが、大手塾に通えば成功する訳ではないことも念頭に入れて、参戦すべきであろう。