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三田学院

[2021年9月26日]

【都立中】練習校と特待校

11月になると願書配布が始まる。

受検校の出願準備が迫ってきた。

本命都立中の絞り込みはもちろんだが、私立中を併願する受検生は、併願私立中を含めた受検日程を組み立てる時期となった。

併願私立中には、大きく5つのタイプに分けられよう。

1.練習校
2.滑止校
3.特待校
4.本命校
5.挑戦校

練習校は、本番慣れと合格慣れのために受検する私立中だ。2月の東京日程を使うと日程的にもったいないから、埼玉や千葉で練習しておくのがよい。併せて特待を取れれば尚よい。多くは合格しても入学しない。確実に合格が取れる私立中を組合わせれば、他はチェレンジしてもよい。むしろ、持ち偏差値より難しい挑戦校を組合わせることで、己の実力を試せる。1月の埼玉千葉なら、挑戦校に落ちても挽回できる。

滑止校は、全落ちなど最悪の事態の際に入学できる学校を確保しておくために受検する私立中である。合格が見込める私立中のうち、最悪の結果になった場合は入学してもよい私立中から選んでおくとよいだろう。そうでなければ練習校になる。高い確率で合格できる私立中がよい。安全校だ。

特待校は、特待の内容が良ければ、都立中が残念な時に進んでもよい私立中である。高い確率で特待が取れる私立中を選んでおくとよいだろう。特待狙いで一般スライド合格になると、不合格に近いショックを受けることもある。

本命校は、本命の都立中と比較して、遜色がないか、より魅力的な私立中から選ぶことになろう。都立中に落ちたから入学するのではなく、どちらかに合格したら入学すると思える私立中である。当然に難関私立中が候補となる。挑戦校ではなく、最適校を中心にし、安全校も組合わせるのがよい。

最後に、挑戦校だが、都立中が本命なら、併願私立中に挑戦校は含めない方がよい。私立挑戦校対策する余力が在るなら、本命都立中対策に専念した方がよい。余力がないなら、なおさら都立中対策に専念すべきだ。どうしても挑戦したいなら、千葉埼玉日程でした方がよい。

気をつけてほしいことがある。都内私立中学の特待合格の難易度を、かなり甘く見積もっている親子を、毎年のように見かけることだ。

私立中学はボランティア団体ではないから、特待合格は戦略的にしか出さない。特待選抜入試でも、ほとんどの受検生を一般スライド合格にして、特待は乱発しない。近年、特待基準を厳しくする私立中もあり、甘くはない。

特待合格を目指すなら、一般合格できる難易度よりも、偏差値で10〜15ポイント難しくなると思っておいた方がよい。もちろん、もともとの難易度帯による。

一般合格の偏差値が45なら、特待合格の目安は60からというのが一般的だ。多くは入学金免除や入学金半額免除だけからだ。授業料1年免除や、授業料3年免除もとなると、さらに難しくなる。入学金免除が60なら、1年特待は63〜65、3年特待は66〜69、6年特待は70以上のイメージだ。

特待のある私立中を受検に組み入れる際、一般合格狙いなのか、特待合格狙いなのか、事前に確認しておくと、合否が出た後に動揺しなくて済むだろう。

都立中に合格できるかどうか不安なレベルの受検生が、私立中の特待合格を目指すなら、持ち偏差値より10ポイント以上低い学校を選択するのが安全だ。そうでなければ、一般合格できても、特待合格はできない可能性が高い。

あなたの持ち偏差値:平均55
特待を狙える偏差値:45以下

もちろん、私立中によっては、特待基準が甘い学校もある。多くは、生徒募集に苦心している私立中だ。反対に、全く特待合格を出さない私立中も多い。一般合格だけで優秀な受検生を集められる私立中だ。一般合格の偏差値目安が65前後以上の難関私立中だ。

特待選抜入試を行う私立中は、世間の評判は芳しくない学校が多いが、というより、世間における知名度が低い学校が多いが、見かけより充実した教育を受けられる学校が多く、かつ地元公立中学より手厚い教育が受けられる学校が多いので、先入観に囚われず、見栄を張らず、冷静に、幅広く情報収集しておくと、より幸せな中学受検になる可能性がある。

都立中を目指す親子には、教育資金についてシビアな見方をするご家庭も多いから、私立中の内容の充実した特待を本気で取りに行く戦略を組み合わせるのも妙案だろう。特待合格が取れると、受検生本人よりも、受検生の親が喜ぶことが多い。

特待合格した私立中に、高校からだと、一般合格はおろか、合格さえ取れないことがあることも、知っておくとよいだろう。

中学受験で失敗して、高校受験で成功できるのは、ごく一部に限られる。ともに失敗する受検生が圧倒的に多い。もちろん、高校受験も失敗したことにすら気がついていない親子もいる。それはそれで幸せなのかもしれない。

受検校選択においても、子の成功の鍵は、親が握っていると言えるだろう。