[2021年9月28日]
適性検査本番で、作文が0点でも合格できるのか、検証してみる。
桜修館を例にしてみる。総合成績の換算方法は以下の通りだ。
報告書:適性検査1:適性検査2=300:200:500
仮に、報告書が満点であった場合の、適性検査1と2の平均得点率65%が、合否ラインだったとしよう。適性1と2がともに同じ65%の得点率だと、次の通りだ。
報告書:適性検査1:適性検査2=300:130:325、総合成績755点が合否ラインとなる。適性検査だけなら455点が合否ラインとなる。
適性検査1が0点なら、適性検査2だけで455点が必要なので、適性検査2の得点率は91%以上なければならない。適性検査2を90%以上得点できる受検生は稀なので、適性検査1が0点なら、ほぼ不合格となる。
適性検査1の得点率の違いによる、適性検査2の必要な得点率を計算してみる。
700×0.65=455
適性1の得点率10%:((700×0.65)−20)÷500=0.87、よって必要な適性2の得点率は87%
適性1の得点率20%:((700×0.65)−40)÷500=0.83、よって必要な適性2の得点率は83%
適性1の得点率30%:((700×0.65)−60)÷500=0.79、よって必要な適性2の得点率は79%
適性1の得点率40%:((700×0.65)−80)÷500=0.75、よって必要な適性2の得点率は75%
適性1の得点率50%:((700×0.65)−100)÷500=0.71、よって必要な適性2の得点率は71%
適性1の得点率60%:((700×0.65)−120)÷500=0.67、よって必要な適性2の得点率は67%
適性1の得点率70%:((700×0.65)−140)÷500=0.63、よって必要な適性2の得点率は63%
適性1の得点率80%:((700×0.65)−160)÷500=0.59、よって必要な適性2の得点率は59%
適性1の得点率90%:((700×0.65)−180)÷500=0.55、よって必要な適性2の得点率は55%
適性1の得点率100%:((700×0.65)−200)÷500=0.51、よって必要な適性2の得点率は51%
適性2で、得点率70%を超えるのは容易ではないので、適性1の得点率が50%を下回ると、合格の可能性は著しく低下するという試算になる。
桜修館に限らず、適性作文の採点基準は厳しいので、本番で50%を下回らないよう、しっかりと対策をする必要があろう。
桜修館に限れば、適性2の算数分野はかなり難易度が高いので、適性2の理科と社会で安定的に高得点が取れる方が安全である。その上で適性2の難問算数で取りこぼしが大きくならないようにできたなら、合格が見えてくる。
極論すれば、算数と国語がともに圧倒的に得意で、理科と社会を苦手としない受検生の中から合格者多く出ると言えるだろう。
逆に、適性1が満点だと、適性2は51%を超えればいことになり、圧倒的に有利になる。女子に、この合格パターンが多いと思われる。
適性3もある都立中では、適性1と2と3の総合成績への換算比率に、極端な傾斜がある学校は少ない。
このことから、2科型の都立中を志望校とする場合は、適性1、つまり適性作文が苦手だと、相対的に非常に厳しい闘いになると言える。
適性作文が苦手な受検生は、おなじような難易度であれば、適性3まである都立中を受検した方が、合格可能性を高められる可能性がある。
都立中の適性作文の採点基準は、巷の想定よりも極めて厳しい。適性作文の要件をしっかりと満たし、客観的かつ論理的で、理由や根拠をしっかり示せて、適切な体験や経験を織り交ぜながら、独自性のある意見を展開できなければ、ただ原稿用紙が埋まっていても、0点や超低得点になる。
難関私立中に合格できながらも、あるいは、高い学力がありながらも、都立中を取りこぼしてしまう受検生には、この適性作文で十分な得点ができないケースが、多いように思われる。