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三田学院

[2021年10月15日]

【都立中】スーパー・チャレンジャー

空前の中学受験ブームが続いているが、昨年の都内中学受験で、大きく受験者数を増減させた私立中学を、おおまかな難易度順でサマリーしておこう。

来春の入試を乗り切るヒントがあるかもしれない。

尚、傾向を掴むだけが目的なので、増減率はかなりざっくりとした概数で示す。

<男子校>
世田谷:約25%減少
攻玉社:約20%減少
巣鴨:約15%減少
高輪:約15%増加
成城:約15%減少
暁星:約20%減少
都市大附:約20%減少
獨協:約25%増加
豊山:約35%増加

男子難関校はどこも合格を取るのが難しいことを悟り、高輪あたりにはなんとか合格したいという気持ちが見て取れる。しかし2日の高輪は甘くなく、1日に挑戦校を組むと、共に残念になるリスクがある。高輪の4日は少し前までは1日なみに取りやすかったが、2日の受験生が激増しており、1日と2日の合格者の多くが、入学手続きを締切日の4日午前に済ませてしまうと、4日の午後発表の4日合格者の数を厳しく絞るので、要注意だ。謙虚に1日を狙うのがよい。5日の成城は、5日の大妻とならび、都内最悪の激戦地だ。この入試回はないと思った方がよいくらいだ。最悪でも4日までに合格を確保しておくべきだ。できれば2日までに勝負を決めたい。

<女子校>
鴎友:約20%増加
共立:約25%減少
香蘭:約20%減少
富士見:約20%増加
恵泉:約20%減少
山脇:約50%増加
跡見:約10%増加
実践:約60%増加
豊山:約20%増加
中村:約80%増加
和洋:約80%増加

御三家や最難関が難しいと判断した親子が狙いを定めたのが鴎友だ。新御三家あたりも難しいと判断した親子が狙いを定めたのが西の富士見や都心の山脇だ。その結果、山脇は血だらけの入試が続いている。もっと堅実な併願をしないと厳しい結果になるだろう。

<共学校>
法政:約15%増加
都市大等々力:約20%減少
農大一:約20%増加
芝浦工附:約20%増加
淑徳巣鴨:約30%増加
安田:約20%増加
宝仙理数:約50%増加
駒込:約30%増加
日大目黒:約40%増加
日大一:約30%増加

選択肢が多いが希望者も多い。女子校より共学校という流れがあるので、ここは逆を攻めたい。低偏差値レベルは女子校の方が取りやすい。男子が共学校を狙う場合、男女混合なのか、男女別なのか、女子に人気なのか、男子に人気なのかなども、加味して検討した方が賢明だろう。

個別の人気や不人気もあるが、総じて、偏差値帯が下がるほど、受験生が増えている。

これは、大幅に増えた受験生のほとんどが、そもそも低偏差値私立中しか狙えなかった層だということを、示唆しているのではないだろうか。

都立中の、かつての高倍率の、デジャブのようだ。

一方で、ここ数年の過熱感が高かった高難易度の私立中は、のきなみ志願者を減らしている。スーパー・チャレンジャーには合格が難しいことを、やっと悟ったのであろう。

受験生を増やした高難易度帯の学校を志願する場合は、注意が必要である。難易度ゾーンごとに受験者が動く傾向があるので、優秀な受験生が過度に集中し、特に鴎友や高輪や山脇などは、想定を超える激戦となったはずだ。

増加した受験生のほとんどは、大手塾から中学入試を目指したようだが、落ち着きどころは低偏差値私立中ということになったことだろう。

大手塾に通って、大きな夢を見たのはいいが、にわか受験生(ゆる受験生)の末路は、とても厳しい。

かつては、身の程知らずで都立中の入試会場に集結したスーパー・チャレンジャーたちの多くが、ここ数年は私立中の入試会場にも流れ込んだのかもしれない。

この傾向は、来春も受け継がれそうだ。

身の程知らずのスーパー・チャレンジャーたちは、実は都立高校入試でも大暴れしている。

焚きつけたのは、いったい誰なのだろう。