[2021年11月2日]
都立中実質単願で、残念なら高校受験で再チャレンジという受検生がいまだに多い。
都立中実質単願で、私立は適性検査型入試だけしか受けない受検生がいまだに多い。
都立中実質単願で、低偏差値の私立は合格しても入学しない受検生がいまだに多い。
賢明な判断だろうか。
高校入試は甘くない。退官された日比谷高校の前校長武内先生がまだご在任中だった際にお聞きした「推薦入試で、女子は『オール5』だけで定員の3倍以上も、受けに来ますからね」というお言葉が、記憶から離れない。
高校入試は学力試験であり適性検査ではない。しかも都立高校はマークシート式だ。正確に一つの答えにたどりつけなければ得点できない。大学入試も学力試験だ。国公立大学では実質必須で多くの私立大学も利用する「大学入試共通テスト(旧センター試験)」もマークシート式の学力試験だ。
適性検査を経て入学した都立中学生も、学力試験を経て入学したん難関私立中学生も、大学入試では学力試験で競い合うことになる。難関私立中学と都立中学で、大学入試の攻略指導が根本的に違うことはない。中高一貫生を指導していれば一目瞭然だが、使用教材やカリキュラムや指導内容や指導方法で、難関私立中と都立中に違いはない。
やわらかい表現で「適性検査で入学した子たちの学力の分布は幅広い」などと言われるが、厳しい表現をすればどうなるかは、言わなくてもわかることだろう。
都立中の幹部たちが、しばしば私の前で、ある大手都立中受検専門塾への苦言を吐露するが、誤った受検指導は、都立中だけでなく、受検生の将来にまで悪影響を与えかねないという実態がある。かと言って、難関私立中受験指導大手塾の指導が適切だとも言えない。
高校入試のおける内申点は、都立高校だけで合否判断に使用されるのではない。私立高校の推薦入試や併願優遇の合否基準は、ほぼ100%内申点で決まる。
小学校の「よくできる」ほど簡単に、中学校の「5」は取れない。小学校の内申美人や内申美男子は、中学ではそのごく一部しか美人や美男子にはなれない。
中学受験の低偏差値私立中の多くは、高校受験では高偏差値私立高に豹変する。中学からなら容易に入学できた私立校に、高校からでは入学できなくなることがほとんどだ。
高校入試で、都立三田や都立小松川など、進学指導推進校に挑戦できる実力が備わった受験生でも、併願優遇や単願推薦で合格が狙える私立校は、多くは中学入試なら「名前さえ書ければ合格できる」と揶揄されるような私立高になる。
運よく都立高校に合格できればよいが、残念になると、世間一般からは厳しい評価しか得られない私立高へ入学するしかない現実を耐え忍ばなければならなくなる。
大手塾や大手塾をマネた中小塾の、よくある公立中高一貫校の受検対策は、あなたの子にとって、将来の幸せを実現できる選択となっているだろうか。