[2021年12月22日]
中学受験を目指す場合、大きく分けて、都立中を目指すのか、私立中を目指すのかに、分かれるであろう。
都立中を目指すのか、私立中を目指すのかで、最も大きな違いは何だろうか。
巷の意見では、都立中は授業料が安く、私立中は授業料が高い、ということが、大きな違いだととする意見が多いように見受けられる。
しかし、都立中を目指すのか、私立中を目指すかの、決定的な違いは、志望校に残念になった場合に、地元公立中学への進学を視野に入れるのか、入れないかだと思う。
都立中を目指す親子は、望み通りの結果にならなかった場合は、地元公立中学でかまわないと考えて臨むケースが多い。
しかし、
私立中を目指す親子は、望み通りの結果にならなかった場合でも、当初から、地元公立中学への進学は想定していない。
これは、都立中と私立中の、それぞれにおける選択肢の幅が大きく違うことに起因していると思われる。
都立中はある一定以上の難易度の学校しかない。いずれの学校もある程度の以上の秀才でなければ合格はありえない。
私立中は幅広い難易度の中から受験校が選べる。適切な難易度の受験校を選べばどこかには合格できる可能性が高い。
もちろん、私立中も、男子の場合は、全男子受験生の80%しか定員がないから、全員がどこかに合格できる訳ではないが、約80%がどこかには合格できるから、適切な受検校選択をすれば、ほぼどこかには合格できる。全滅するのはチャレンジ校ばかりを受験した受験生となる。
中学受験や中学高校での教育費を節約したい目的で都立中の受検を選択しても、倍率が5倍であれば、約80%が目的を達成できない。
それどころか、都立中受検のために大手塾に通い、その後に高校受験のために大手塾に通えば、当初目指していた教育費の節約など実現できず、当初から私立中を目指した場合と比較しても、大差がなくなってしまう。
そのリスクは、都立中受検生の約80%が負うことになるので、教育費の期待値は、中学受験をまったくしない場合よりも、はるかに高額になる。
費用対効果で最も効用が高くなる選択肢は、都立中を第一志望としながらも、同等の教育効果が期待できる私立中に確実に併願合格することであろう。
特待制度のある私立中を目指すことで教育費を抑えるという選択肢もあるが、そうした私立中に特待合格ではなく一般合格で入学してきた生徒のレベルは遥かに低くなるから、都立中並みに優秀な仲間と一緒に切磋琢磨するという夢は、実現できない可能性が高いことも覚悟しておかなければならない。
都立中と同等の教育効果が期待できる私立中となると、選択肢はかなり狭くなる。
御三家や新御三家や最難関や難関の私立中となろう。
どの私立中までが対象となるかは個人によって差があろうが、概ね次のような学校が、難易度の「下限」となるのではないだろうか。
小石川レベル:芝、本郷、東洋英和、頌栄など
桜修館レベル:巣鴨、大妻、共立女子など
その他都立中:高輪、普連土、品川女子など
違う角度から言えば、こうしたレベルの私立中に併願合格できそうにない受検生は、都立中への合格も危ういと考えた方がよいかもしれない。
誤解しないでいただきたいのは、芝や本郷に合格できるレベルなら、都立中に絶対合格できるという意味ではないことだ。
麻布に合格して、小石川に残念になる。
吉祥女子に合格して、武蔵に残念になる。
駒場東邦に合格して、桜修館に残念になる。
これらは一般的に起こる。つまり、逆は真ではないということだ。
また話しがなくなってしまったが、都立中への合格を目指すなら、同時に、難関私立中への併願合格も目指した方が満足度が高くなるだろうということだ。
ここでも逆は真ではなく、難関私立中への合格を目指すなら、安易に都立中への併願合格を目指さない方が、満足度が高くなるだろう。
最も言いたいことは、都立中に残念になったら、地元公立中学でよいとうのなら、最初から都立高校を目指して取り組んだ方がよいということだ。
都立高校入試は適性検査ではない。学力検査だ。しかも、都立高校入試の共通問題は5教科ともマークシート方式だ。記述式の問題はごくわずかしか出題されない。日比谷など重点校の自校作成問題は記述式が多いとはいえ、適性検査とは程遠く、学力試験の記述式だ。
悪徳学習塾や悪徳教育評論家に騙されてはいけない。
都立中受検には安易に参戦しない方が賢明だ。
覚悟のない受検生親子はただ翻弄されるだけだから。