[2022年1月11日]
1月11日、時事通信によると、文部科学省はコロナに感染し共通テストを受験できなかった受験生に対する救済策を、国公立大学などに要請したようだが、これは物議をかもすかもしれない。
要請には国公立大学入試だけでなく中学入試が含まれていたからだ。
概要は以下の通り。
国公立大:2次試験のみで判定
私立大1:共通テスト利用の受験生も個別入試で判定
私立大2:個別選抜も受験できなかった場合は総合型選抜方式で判定
中学高校:追試や書類のみの選考を検討
私立大1は、共通テスト利用の受験料で個別試験を受けられるようにすれば対応可能だろうが、受検日程が他の大学や他の学部などと重複すると受験できないといった問題が発生しそうだ。
私立大2は、個別選抜と総合型選抜では、判定の仕方が全く違うので、救済になるかどうかは怪しい。もともと総合型選抜の対策もした受験生が有利になる可能性があり、個別選抜で対策してきた受験生には不利だ。
国公立大学の2次試験だけで判定する方式だが、1次と2次では試験形式がもともと違う(1次はマークシート式で、2次は記述式が多い)し、必須教科数が違うなどした場合に公平性が保てるのか疑問だ。
もともと全教科の2次試験問題を作成している大規模大学なら実務上実施は可能かもしれないが、小規模大学の場合は特定の教科しか2次試験問題を作成していないので一部教科だけでの判定するしかなくなるだろう。それでいいのだろうか。
いずれにせよ、1次と2次の合計点で判定するのが国公立大学の一般入試の原則だから、そうした合格者と、2次だけの合格者との公平性を、どう維持できるかにもよるだろう。後期日程の一部を2次だけ受験生に割り振るしかないかもしれないが、後期日程はそもそも難易度が高いから、形式だけの救済にしかならないかもしれない。
中学高校だが、都立高校はコロナ追試を行っているので問題ないだろう。私立高校や私立中学の不人気校は、入学者を募集する機会が増えてかえって嬉しいかもしれない。人気の私立高校や私立中学は、多少当日の欠席者が増えても優秀な入学者を確保できるだろうから、追試をする必要性を感じないだろう。
もっとも物議をかもしそうなのが、都立中学である。もともとコロナ追試を行っていない。適性検査問題を2回分用意するのは今更難しい。報告書だけで判定しようとすると「オール3」の受検生は数限りなくいるだろうから選抜にならない。報告書と面接での判定も同じ理由で選抜は難しい。
特例で学力試験を実施するしかないかもしれない。学力試験問題なら短期間でも作成できなくはない。ただ合格判定基準をどこにもってくるかの問題は残るし、そもそも学力試験をしないのが建前だから、やっぱり難しいのではないか。
そうなると、報告書と、適性1相当の適性作文と、算数と理科と社会の基礎学力試験あたりが現実的かもしれない。
コロナ欠席者は全都立中を合計して30人程度とすると、合格率から逆算して、追試の合格総定員は5人程度が妥当だろうか。約2校に1人のコロナ追試定員枠となる。同一問題で実施し、学校群を再結成して、事前に群を登録してもらい、群ごとに合格者を決め、2校のうち希望するいずれか1校に入学できるとする方式だ。
組むならどの学校になるだろうか。
小石川か都立武蔵
両国か桜修館
富士か白鴎
三鷹か大泉
南多摩か立川国際
区立の九段は、どこかの群に入れてもらうのがいいかもしれない。
東大附属は、得意の推薦入試を、追加でもう一度実施する手もある。
学芸大学附属国際は、英語の外部資格スコアと面接で実施す手もありそうだ。英語特別枠だ。
地元に公立中学はあるのだし、3年後に都立高校入試にも挑戦できるのだから、入学先がなくなることはない。よってコロナ追試は必要ないという判断になるのが、落ちかもしれない。