[2022年1月22日]
令和4年度応募倍率を各都立中別に解釈してみる。
倍率が上昇した都立中を見ていこう。
都立富士:3.24 → 3.81
立川国際:4.62 → 5.09
都立三鷹:5.63 → 5.90
男女ともに応募が増えている。
富士は、昨年度に大きく減らしすぎた反動があると思われる。昨年度減らした主な要因は、報告書割合の引き上げで報告書点が芳しくない受検生から敬遠されことだろう。
立川国際は、小中高一貫化で広く注目を集めたことが主な要因であろう。
三鷹は、約0.3倍の増加なので誤差のうちという解釈も成り立つが、立地が近い都立武蔵が難易度を上げたことで、鞍替えした受検生が一定数いた可能性もある。
倍率が下落した都立中を見ていこう。
都立両国:7.04 → 4.88
都立大泉:5.94 → 4.60
この2校は定員増の影響が大きい。両国は実人数も減少している。しかし、大泉の実人数は増加している。
小石川中:5.11 → 4.59
都立武蔵:3.21 → 3.09
桜修館中:6.16 → 5.17
この3校は、都立中の難易度が上昇したことにより、志願者数を減らしたことが、最も明確に表れていそうだ。難関私立中などとの併願が増えた一方で、合格が難しいと悟った記念受検組がさらに減少したと思われる。
桜修館の減少幅が大きいが、難易度上昇の影響が、小石川→都立武蔵→桜修館と、難易度が高い順に波及して行った結果だと思われる。
都立武蔵の減少幅が小さいのは、もともと都立中の中でば倍率が低くい傾向にあり、すでにかなり低くなっていたからであろう。
小石川は平均的な減少幅となったが、従来型の都立実質単願組はもっと減らし、その一部を、筑波大附属駒場や、筑波大附属や、お茶の水女子大附属の女子、などからの鞍替え組が、それを埋めた可能性があるので、注意が必要だ。
都立白鴎:6.02 → 5.43
南多摩中:5.06 → 4.24
白鴎は、ほぼ平均的な減少となった。ただ定員を拡大した両国に一定数が動いた可能性もある。
南多摩は、今春の難関大学合格実績がふるわなかった影響で、平均的な減少幅よりやや大きな減少幅となった可能性が高い。
参考までに、令和3年春の、東京大学合格者数を転記しておく。
小石川18名
都武蔵09名
都大泉05名
桜修館04名
区九段04名
立川国04名
都白鴎03名
都三鷹03名
都富士01名
都両国01名
南多摩00名
尚、この合格者数は、速報ベースの人数をお伝えした約1年前のスタッフ日記などの転記なので、その後に変動している可能性があることをご承知おき願いたい。
まとめる。
倍率は下がったが、難易度は下がらない。
特に、ここ数年は、年を追うごとに共通問題が難しくなってきている。適性1は解答の仕方を実質暗記してきただけの受検生は得点できないように作問されるようになった。適性2は純粋に難易度が上昇している。特に算数は、ハイレベル算数が得意な受検生でも解きずらい作問になってきている。
九段は、もともと都立中より平易な難易度の問題を、大量に出す形式だったが、分量はそのままで難易度が上がってきている。これは区分A受検生の実力も上がってきているためだと分析している。区分Aで入学した生徒のことについては、過去の人気で書いたと思うので、ご参照いただきたい。九段を目指す塾生や保護者には詳細をお伝えしてある。
九段の合格ボーダーラインの実得点は、3年ほど前よりはやや低くなりそうだ。ただし、受検生も得点が伸びないから、結局のところ、闘う相手は変わらない。作問する九段側からしてみれば、より適切に入学者を選抜できるようになり、喜ばしいことだろう。
もう、この時期になると、実質的に合格を競い合っているのは、定員の約1.5倍程度以下になる。
そのことを知ってか知らずか、そうした受検生たちに混ざって、さらに定員の約3倍の受検生が、当日の受検会場に足を運ぶ。そして、満足に解答用紙を埋められないままで、試験を終える。
心配することはない。
合格にも、不合格にも、倍率は関係ない。
倍率が高くても、合格できる人は、できる。
倍率が低くても、合格しない人は、しない。
どんな倍率であろうとも、合格できる人になれれば、合格できる。