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三田学院

[2022年1月24日]

【都立中】コロナ追試を深読み

東京都教育委員会が発表した「入学者決定における特例の措置」(以下、「コロナ追試」)について深読みをしてみる。

今回の措置は、文部科学省が大学入試(特に国立大学入試)を念頭に、国民が新型感染症の拡大により、政府や行政の対応に不満が募らないように配慮したことを受けたものと思料している。必ずしも学校側が望んで行ったかどうかは怪しいと思った方がよさそうだ。

また、他県などの公立中高一貫校の中には、早々にコロナ追試を決定し、募集要項に組み込んでいる学校もあるので、そうした例をもとに批判を受けることがないように対応した可能性もある。

それは、追試の応募資格が次のように示されていることに表れている。

「一般枠募集の検査日当日に新型コロナウイルス感染症の感染者等であったため、出願した都立中学校を受検することができなかった者のうち、特例による検査の措置を申請し、当該都立中学校長から承認を得た者」

「新型コロナウイルス感染症の感染者等」をどう読むかにもよるが、これには新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者などが含まれると考えるのが妥当ではないだろうか。通常のインフルエンザや風邪や腹痛などは含まれないと読むのが素直であろう。もちろん、学校長の判断にもよる。

もしそうだとすれば、新型感染症が収束したら追試をするつもりはないと言っているとも読み取れれるし、「新型コロナウイルス感染症の感染者等」でなければ、2月3日に受検できなかったとしても、追試を受ける資格はないとも解釈できる。

次に、注目したいのは、追試では、報告書点によって「足切り」が行われることだ。一般合格した受検生の報告書最低点に満たない受検生は、「新型コロナウイルス感染症の感染者等」に該当して2月3日欠席しても、追試の応募資格を得られないということになる。

つまり、都立中は報告書点を入学者選抜において非常に重要視しているとも読める。本心では、報告書が満足に整えられない受検生は、一般受検であっても、受検してほしくない、受検しても合格しません、と考えていることが明白になったと解釈できなくはない。

次に、公表された文面だけからは、コロナ追試の定員は、一般入試等による定員を削減して充てるのでなく、追加されると読み取れることだ。

これは、多少多くの入学者を迎え入れても問題ないと判断していると解釈できる他、追試で合格させることになる人数は極少数になるだろうと見積もっているとも解釈できる。

数人程度多くの入学者を迎え入れても、例年それを上回る人数が途中で都立中を去っているので、十分対応できると考えた可能性がある。

新型感染症の拡大は、とても心配だろうと、お見舞い申し上げる。

しかし、合格を目指すなら、感染対策や体調管理に、万全を期して臨まれる方が、安全である。

くれぐれも、追試狙いなど計画されないことを、お勧めする。

追試で合格できるなら一般でも合格できる可能性が高いが、一般で合格できない人が追試で合格できる可能性は低いからだ。

報告書最低点以上なら追試には出願できるが、追試においても報告書がほぼ満点で、一般でも合格できそうな受検生どうしで、面接を競い合うことに、なるだろうから。