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三田学院

[2022年1月26日]

【都立高】令和4年入試は異変の気配

都立高校入試で異変が起きる気配がある。

男女別募集定員の緩和のことではない。情報収集能力の高い人たちにとって、そんなことは、すでに織り込み済みだ。

原油相場も、株式相場も、金利相場も、外国為替相場も、確定情報ではなく、予想で動く。
中学受験動向も、高校受験動向も、大学受験動向も、確定情報ではなく、予想で動く。

ここ数年、私立高校授業料の実質無料化の動きから、私立高校を目指す動きが顕著であったが、これが一服して、都立高校回帰の動きが一部で出てきそうな気配だ。

私立の授業料無償化で都立高校の定員割れが深刻になった一方で、私立高校の中堅校や中位校が人気化し、ここ数年は、それぞれのレベルごとに、以前よりも合格が取りにくくなっていたことが背景にある。

私立高校の単願推薦や併願優遇などは、実質的に「報告書の成績だけ」により、出願時点までに事前に合否が決まるため、受験勉強に本格的に取り組めない受験生や、早期に受験勉強から離脱したい受験生にとって、もともと極めて好都合であった。そこに授業料の実質無償化が加わり、家庭の経済的な事情で私立高校を第一志望にできなかった層までが流れ込んだことで、私立高校実質無試験合格の人気は一気に加速していた。

なぜ、変化の兆しが出てきたのだろうか。

最大の要因は、実質無試験で合格できる私立高校の実質的な出願資格が、少しずつ厳しくなっていることが考えられる。

・単願推薦や併願優遇による出願者の増加により出願競争が激化した
・中学入試活況で中学入学者が増えて私立校が強気の姿勢に転じた

加えて、都立高校で定員割れが進んでいることが広く知られるようになってきたことだ。

都立高校回帰と言えば聞こえが良いが、都立に回帰しようとする層が向かっているのは、

・前年度定員割れの都立高校
・前年度超低倍率の都立高校

これは、一般入試だけでなく、推薦入試でも起きている。

一番手やニ番手など、人気の都立高校は、推薦入試は5倍程度以上、一般入試でも2倍から3倍の厳しい倍率になっていて、そうした都立高は、逆流の候補先とはならない。

多くは、都立中位校や、都立下位校だ。

つまり、私立中位校や私立下位校から、都立中位校や都立下位校への動きとなる。

これにより、長らく「全入」と揶揄されていた低偏差値私立高校だけでなく、近年定員割れによる全入が加速した低偏差値都立高校も、多くの学校で「名前さえ書ければ合格できる」という状況でなくなろうとしている。

都立も私立も、全体で見れば全員合格でしょ、と舐めきっていた層は、今後さらに厳しい選択を迫られることになりそうだ。

高校受験で成功できるのは、せいぜい上位5%ほどである。名実ともに名門進学校と認められる高校の定員は、もともとこの程度しかない。

それ以外は、当初に夢見たような高校には進学できない。

どこでもいいから、少しでもましな高校へ、などと考えている層は、時代の変化や時流の変化に、常に翻弄されることになる。

どの程度の高校に進めるかで、将来にどの程度の大学に進めるかもほぼ決まってしまうが、どの高校に進めるかは、10歳程度でほぼ決まってしまう。

中3の夏や秋になって焦っても、時は、すでに遅い。

高校受験で成功したいなら、10歳までに、高校入試に向けて、好スタートを切っておくべきだ。

将来に高校入試で成功する人は、言われなくてもわかっていることだろう。

しかし、

将来に高校入試で失敗する人は、言われたとしても理解できないであろう。