[2022年2月3日]
今年、令和4年度の都立中入試や私立中入試から、新たな変化と、新たな発見と、新たな教訓を得た。
それは、新たな挑戦の始まりでもある。
5年以上前には、都立中入試では、入試本番で解答用紙のほとんどが埋まっていない受検生が数多くいた。これは、解答用紙を回収する際に、ちらりと見えるから分かることだ。試験は終了しているからカンニングではない。
しかし、今年度の入試では、そうした受検生の割合が、どうやらかなり低くなっているようだ。
みんな書けてる!
今年度はそう報告してくれた塾生が多い。つまり、しっかり対策してきた受検生だけで、ほぼ合格を競い合うような状況になってきたとも言える。何度も書いてきたが、これは想定通りだ。
もちろん、書いた内容が正解かどうかまでは、わからない。
しかし、解答用紙を埋められない受検生に、合格の可能性はない。よって、埋められるようになってきただけでも、全体のレベルが上がったと解釈できよう。
倍率が高いから合格できないのではないと、繰り返しお伝えしてきた。
今年度は史上最低の倍率となったが、それにより合格しやすくなったと感じられたであろうか。
むしろ逆であろう。
倍率は低下したが難易度は上昇したと感じている人の割合が優勢なのではないだろうか。
次に、併願校の組み方だ。
適性検査型入試を行う私立中は非常に多くなったが、そのほとんどは「なんちゃって適性検査入試」だ。入試問題だけに関して言えば、練習になどならない私立中が巷にあふれている。
これまでは、適性検査型と募集要項に書いておけば、騙されて何人かの受検生を集められたが、そろそろ受検生側も気がつき始めている。
次に、適性検査型特待入試だ。そもそも「なんちゃって適性検査入試」で特待合格をいただいて、練習としてどんな意味があるのか怪しい。
その私立中に特待であれば入学してもいいと思っているならよい。しかし、都立中の合否を占う意味で受検するのであれば、注意が必要である。「なんちゃって適性検査入試」で都立中の合否を占うことはできない。
「なんちゃって適性検査入試」は集客目的でしかない。
つまり、
「なんちゃって適性検査入試」は「パンダ入試」だ。
もちろん、良問を出題する適性検査型入試もあるから、併願候補は適切に選別するべきだろう。
続いて、教育ジャーナリストなどの情報が、実にあてにならないことだ。
これはワザとハズしているのか、それとも正確に分析する能力がそもそもないのか、どちらかは分からない。
中学入試を行う首都圏や都内の私国立中の、出願予想と出願状況が、まったく一致していない。ただ結果だけを書き連ねているだけの情報も実に多い。まあ確定値ならそれなりの価値はある。しかし、終わった情報でしかないと、大きく価値は毀損する。
まだすべての受験回が終了していないが、中学受験比率も中学受験者数も増えたが、実出願総数はそれほど増えていない。
一部の学校で人気の集中が見られたが、大きく増やした学校は少なく、むしろ減らした学校の方が多い。
これは、併願校数や受験回数が、比例して伸びなかったことが大きな原因だろうと思われる。これには新型感染症の影響で従来の受験生の併願校数や受験回数が伸び悩んだことに加え、増えた受験生の多くはレベルがさほど高くなく、併願校数や受験回数が少なかった、つまり本気度の低い受験生が増えたとも解釈できなくはない。真相はいずれデータがそろえば分かる。
教訓をおさらいしておく。
都立中入試は、倍率は低下傾向が続いているが、それに反比例するかのように、難易度上昇は続いている。よって、それに沿って、さらに対策を強化しなければならない。
適性検査型入試を行う私立中を、練習目的や特待目的で併願する場合、それにふさわしいかどうかをしっかり見極める必要がある。
巷の情報は非常にあてにならないので、鵜吞みにして2次利用するのは、誰にとっても危険である。情報は自ら直接収集するのが鉄則である。受験生の保護者にとっても例外ではない。
余談だが、
感染症拡大防止の観点から、塾などの教育関係者による校門前応援の自粛が2年連続で出されていた。このため入試会場は非常に落ち着いた厳粛な雰囲気となっていた。非常に好ましいことだ。今後も入試本番における応援行為は全面禁止とした方がよいと思う。これも何度も申し上げてきた。
理由は、冷静に考えていただければ、分かるはずだ。