[2022年2月4日]
令和4年度の都立中入試を振り返り、併願パターンについて再検証しておきたい。
もちろん、都内公立中高一貫校の合格発表はまだだから、発表後に検証内容を微調整するかもしれない。
都立中が第一志望の併願パターンは、大きく分けて次の3つであろう。
1:私立進学校が滑り止め
2:私立特待校が滑り止め
3:地元公立中が滑り止め
都立中に合格できた場合は、いずれの場合も都立中に進むことになるから、結果は変わらない。
しかし、都立中に残念になった場合に、それぞれどの進路を選ぶかで、その後の6年間が大きく違ってくる。
最も大きな違いは、高校受験をすることになるのか、ならないのかである。これが好都合な人と不都合な人に分かれるであろう。高校受験は今日の本題ではないので、詳細は別の機会に譲る。
ここでは、私立進学校とは、原則として、適性検査型入試を実施していない難関進学校を指すこととする。
そして、私立特待校とは、原則として、適性検査型入試が主力となっていて、特待入試があるために人気のある、おもに中堅以下の私立中を指すこととする。
難関私立進学校でも特待合格を出す学校がある。また、中堅や中位の私立進学校でも、特待合格を出したり、特待入試を行っている学校もある。ただし、適性検査型入試より学力試験型入試の方が、特待合格を取りやすい傾向にあるように思う。
逆に、特待入試は行わないが、適性検査型あるいは適性検査型に近い思考力型や合科型や総合型の入試を行う私立進学校もある。
こうした例外まで含めるとややこしくなるので、特に付言しない場合は、私立進学校は学力試験型を想定し、私立特待校は適性検査型を想定していただければよい。
都立中が第一志望で、適性検査型オンリーで仕上げてきた受検生にとって、学力試験型入試を行う私立進学校から合格を得ることは難しい。よって、都立中が第一志望の場合は、併願する私立中は適性検査型であることが多かった。
しかも、都立中を第一志望とする場合は、保護者の都合で、私立中は、特待でなければ進学先候補にはならないという層が、一定割合いることも承知している。
さらに、パターン3のように、都立中が残念なら、地元公立中への進学が一択と決めているケースも少なくなく、この場合、私立中を併願する目的は練習しかありえないことになる。
よって、都立中受検生の実質的な併願パターンは、私立進学校か私立特待校かの、2択となる。
ここで重要なのは、都立中に残念になるような受検生にも特待合格を出してくれるような私立中とは、いったいどんな私立中かということである。私立進学校には合格できない受験生しか集められない学校であることは明白であろう。
そうした私立中のなかで、学費が安ければ入学させてもいいと思うことができる学校がどれだけあるかということも重要である。
もちろん、個人差があるだろう。
中学受験と高校受験でともに生徒募集をしている私立校の多くは、高校から入学する方が難しい。これらも考慮すると、さらに判断が難しくなる。
学費のことを考えなければ、都立中に残念になった場合に、満足できる進学先は、私立進学校のほぼ一択となろう。
学費のことを考えると、都立中に残念になった場合に、満足できる進学先は、進学校度合いがより高い私立特待校となろう。
しかし、ここで注意が必要である。
進学校度合いが高くなれば高くなるほど、特待合格が難しくなることだ。
私立特待進学校と呼べるような私立特待校は、都立中にほぼ確実に合格できるような受検生にしか特待合格を出さない。見方を変えると、都立中に結果として合格できた受検生でも、こうした学校から特待合格をもらえないことがある。
そうなると、私立特待進学校は、安全な滑り止めとしては使えないことになる。
どうせ学費を全額払うことになるのなら、最初から、私立進学校を滑り止めと決めて、それ相応の対策を講じておいた方が、格段に満足度が高くなる。
ただしこれを、都立中の合格可能性を下げない範囲で行わなければならない。本格的に私立学力試験型対策もするのなら、これこそ最初から、私立進学校を第一志望にした方が賢明となる。
保護者からしてみれば、実に悩ましいことであろう。
受験生からしてみても、実に悩ましいことであろう。
満足がいく入試結果を確実に達成したいなら、適性検査型入試対策だけでは実現できないことが、ご理解いただけたであろうか。
実際の併願パターン例と、それに向けた対策の仕方については、個別にお会いできた人だけに、お伝えしたいと思う。
そうしなければ、そのパターンと対策の有効性が、損なわれてしまう危険性があるからだ。