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三田学院

[2022年2月7日]

【中学受験】第一志望に受かるのは10%

私立中学受験で、第一志望校に受かるのは30%、などというのは、真っ赤なウソである。マンガや、テレビドラマや、悪徳塾や、悪徳教育評論家などに、騙されてはいけない。

中堅私立中入学者の80約%以上が、第二志望か第三志望以下での入学者である。大手塾のベテラン講師や、中堅私立校の教員なら周知の事実だ。

中位私立中入学者の90%程度以上が、ほぼ全員が、第二志望が第三志望以下での入学者だ。これも受験業界のプロなら誰でも知っていることだ。

私立御三家など、入試回が1回しかない学校は、入学者のほとんどが第一志望にはなるであろう。

しかし、そうした学校に合格できる受験生は、全体の10%もいない。

全体では、第一志望に合格できるのは10%程度だろうと言っているのは、こうした実態があるからだ。全私立中学校の入学者を加重平均したら、10%程度になるであろう。

ある中堅私立中の幹部教員は、ウチには挫折を味わった子たちしか入学してこないと、白状している。全員が第二志望以下だということである。

反面、都立中は、私立御三家のように入試回が1回しかないので、都立中の合格者というか入学者は、第一志望である可能性が高い。

ところが、都立中の不合格者は、実受検倍率から逆算して、約75%から80%、いることになる。

ということは、都立中入試においても、第一志望に合格できる受検生は、高々20から25%で、30%もいないことになる。

途中で、都立中を受検することを断念した子も相当数いるはずだから、都立中に合格できたらと一度は思いながらも思いを遂げられなかった人たちを加えると、全体としては、やはり10%程度くらいになってしまうのではないだろうか。

中学入試では、私立であろうが、都立であろうが、国立であろうが、第一志望に合格できるのは、高々10%程度であるということを、十分に承知した上で臨むしかない。

別の機会に詳説するつもりだが、中学入試では、適切な併願戦略が組めたかどうかで、幸せな結果を手に入れられるかどうかが、決まる。

適切な併願戦略を組むためには、適切な情報収集と、適切な情報分析と、適切な判断が必要となる。

悪意に満ちた情報や、それを都合よく解釈した情報や、根拠もなく楽観的な解釈をした情報などに、惑わされてはいけない。過度な思い込みもいけない。わがままも災いする。

第一志望校に合格することが、いかに難しいかを正確に理解した上で、遅れず、慌てず、緩まず、楽観的になり過ぎず、悲観的になり過ぎず、脇道に逸れず、面倒くさがらず、楽をしようとせず、必要なことは、必要なだけ、適切な速度で、適切な時期までに、取り組むしかない。

合格できるかどうかは、最終的には、間に合うか、間に合わないかに、かかっている。

中学受験と中学受検は、大学受験と違って、浪人はない。

間に合わせられた者が合格者となり、間に合わせられなかった者が不合格者となる。

つきつめれば、それだけでしか、ない。

第二志望校や第三志望校に通う子たちが、不幸せであるとは限らない。むしろ、志望校の一つに通えているのだから、大いに幸せなはずだ。

入学直後は、いろいろな思いがあるかもしれないが、入学できて幸せだと思える日が、きっと来るであろう。

幸せかどうかは、最終的には、入学生である子が決めることである。

子が幸せだと思っているのに、親が不幸せだと思い込めば、子は自分が不幸せなのだと思ってしまう。

合格できたことを、暖かく、祝福してあげよう。

挑戦できただけでも、幸せだったかもしれない。

挑戦できなかった子も、たくさんいるのだから。