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三田学院

[2022年2月22日]

【大手塾】で病魔に冒される

大手塾からの転塾を希望される方が後を絶たない。

しかし、残念ながら、お断りすることが、しばしばある。

特に、私立中学受験指導大手や難関高校受験指導大手で指導を受けた子たちで、そうしたケースが多い。大手でなくても、大手とおなじような指導をする中小塾で指導を受けていたら、おなじである。

すでに病魔に冒され、回復が見込めないケースが多いからだ。

男子には、大手塾で、自ら進んで学ぶ姿勢の芽を完全に摘まれ、塾で隔離され強制されなければ学べないようになってしまった症例を、よく見かける。

女子には、大手塾で、テスト点数至上主義を刷り込まれ、自発的に学びに意欲や関心や興味を抱くことができなくなってしまった症例を、よく見かける。

どちらも、入試科目の模擬試験成績などは悪くないので、病魔の進行に気がつくことが遅れるケースが多い。中には、まったく気がつかないまま入試を終えるケースもある。

しかし、多くは、中学入学後の成績が振るわずに病魔の進行が発覚する。あるいは、高校受験で通知表成績がネックになって希望通りの受験校に出願できないことを知り発覚する。

その前に、通知表評点がテストや模試の成績に伴わない、強制された宿題や課題以外は勉強しない、自ら学ぶ姿勢が見られない、学んだことを生活の場面で活用するのが苦手、自発的に課題を発見したり問題意識をもつことが苦手、といった兆候が見られる。

しかし、塾のテストや模試の成績が悪くないので、親子そろって重大な問題は存在しないのだと勘違いしてしまう。

そのまま、続けて、中高一貫生向けの補習塾や大手予備校などに通うことになる。そして、さらに症状を悪化させてしまう。

文部科学省が国公立大学などに、総合型選抜や学校推薦型選抜による合格者(入学者)の比率を30%程度以上にするよう求めているのには、こうした背景がある。私立大学では、多くは経営上の理由から、安定的な授業料の確保を目的に、すでに総合型と学校推薦型での入学者が約50%を超えていて、一般選抜による入学者は半数以下となっている。

その結果、一般選抜は、さらに狭き門となりつつある。

形勢が厳しいことに薄々気がついている親子の一部は、私立大学附属校から大学進学を目指すことを目指す。しかし、それにも限界がある。希望学部には進めずに、一般選抜では外部からの入学者を十分に確保できない不人気学部に廻されてしまう。今度は私立大学附属校にも私立大学にも食い物にされることになる。ただ、どちらにも、加害者意識や被害者意識は希薄なままのことが多い。とどのつまり、就職活動で行き詰まる。

学校推薦型では「評定平均」という名の通知表の点数で、競わざるを得ない。
総合型では「意欲・関心・興味」が伴わなければ、書類選考段階で脱落する。

そこで、翻って、一般選抜での合格を目指しても、さらにハードルが高いことを再認識することになる。

大手塾や大手予備校で飼いならされた受験生は、新しく導入された「共通テスト」でも苦戦を強いられている。表面的な学力では解けないような作問になって来ているからだ。

今はまだ様子見をしている旧帝大などの難関国立大学が、総合型や学校推薦型の比重を高め、一般選抜の個別試験(国公立二次試験)まで改革を進めれば、もう逃げ道はなくなる。

大手しか知らない親子や、大手信仰こそが正しいと信じて疑わない親子には、聞く耳などないことは知っている。

大手の洗脳力は強い。

お布施のほとんどが、次なる洗脳のために、費やされているのだから。