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三田学院

[2022年2月27日]

【ウクライナ】地理と歴史の復習

オリンピックの興奮が冷めやらぬ中、ロシアによるウクライナ侵攻に衝撃を受けた人は多いだろう。

軍事行動に対して民間人ができることは限られている。

ここは一つ、社会人だけでなく、受験生も、ウクライナの地理と歴史を確認しておくべきだろう。

ウクライナの人口:4,373万人
ウクライナの面積:603,700k?

日本の人口:12,622万人
日本の面積:377,976k?

ウクライナの国土面積は日本の2倍近く、ウクライナの人口は日本の半分以下、と考えると、およその大きさがわかるであろう。

人口5,000万人弱と聞いて、個人的に思い浮かんだのがスペインである。国土面積もかなり近い。

スペインの人口:4,735万人
スペインの面積:506,000k?

ウクライナは東欧の小国だと思ったら大違いである。かなりの大国である。スウェーデンなどの北欧諸国やスイスなどは、人口は1,000万人弱である。オランダであっても人口は1,500万人を少し超えるくらいだ。

ウクライナの歴史といえば、まず最初に思い浮かべるのは「キエフ公国」であろう。王国ではなく公国なのは、王ではなく有力貴族が支配したという違いによる。現在のウクライナの他、現在のベラルーシや現在のロシアの一部を含んだ地域において、狭義のキエフ公国としては12世紀頃から14世紀頃まで栄えたと、世界史の教科書には書かれている。

この後、ウクライナは大国のはざまで翻弄される。モンゴル帝国の侵入による崩壊後、ポーランド、オーストリア・ハンガリー帝国、オスマン・トルコ帝国、旧ロシアによって、次々と支配を受ける。その後も、ポーランドとロシアの間で分割と支配の歴史が続く。

旧ソビエト連邦崩壊後の1991年に独立を勝ち取るが、内政は安定せず、NATOなのかロシアなのか中立なのか、地政学的な立ち位置が安定しないまま、2014年にはロシアにより南部クリミアが併合され、東部ドンバス地域などが実質的にロシアの支配下に堕ちた。

ここから何を学ぶかは、人それぞれであろう。

重要なことは、ウクライナは東欧の小さな国ではないということである。今回のことは、遠く離れた場所の小さな国で起きたことではないということである。

もう一つ、日本は、今回の当事国であるロシアの隣国であるということである。そして、北方領土問題で領土問題を抱えている相手国であるということである。

現在、ロシアの最大の盟友は中華人民共和国(以下、中国)だと考えてよいだろう。その中国とも隣国関係にある。しかも、尖閣諸島の領有権に関して外交問題を抱えている。

ロシアによるウクライナ侵攻は、日本と周辺地域の歴史について、学び直す良い機会であろうと思う。

樺太や千島列島、朝鮮半島や中国東北地域、薩南諸島や沖縄や台湾、これらの歴史を詳しく知り理解することで、ウクライナで起きていることについても、より理解できるのではないだろうか。

余談だが、隣国ベラルーシで停戦交渉をしようかという話しが一瞬持ち上がったようだが、ベラルーシは親ロシアなので、ウクライナ側は警戒するのではないだろうか。大統領や側近の命の保証が危ういと感じるだろう。トルコが仲介を申し出ているようだが、これはロシアが嫌がるだろう。トルコはNATO加盟国だからだ。

では、中立国のスウェーデンはどうかというと、ロシアは過去にさんざんスウェーデンに苦しめられたから嫌かもしれない。おなじ中立国のオーストリアはどうかと思うが、かつて支配を受けた歴史があるのでウクライナが嫌かもしれない。中立国のスイスあたりがいいかもしれないなどと思っている。もちろん、国際政治は専門ではないので、思いっきり外れることは覚悟の上での妄想だ。

和平仲介国として、日本を思い浮かべることができないのが、実に残念である。