[2022年3月18日]
令和4年度の大学入試における、桜修館の東大合格0人の謎を解く。
最初にお断りしておくが、この謎解きは、桜修館を批判するものでも、桜修館を擁護するものでもない。
また、桜修館の関係者や生徒に直接や間接に聞き取り調査したのではなく、あくまで今年度の合格実績から推察した見解であることを申し添えておく。
平たく言えば、単なる邪推なので、軽く読み流していただいて、まったくかまわない。しかし、今回の謎解きに使ったファクターは、知っておいていただいて、損はないだろうと思う。
この謎を解くカギは、東工大合格者8人と、九段を含む都立中11校の中でトップの合格実績にあると考えている。
ただ単純に、弱気になって志望校を東大から東工大に変更したのだろうと思ったとしたら、あなたは大学受験の素人である。
そんな単純なものではない。
東工大の入試選抜にはユニークな特徴がある。
それは、共通テスト(一次)の成績は第一次選抜(足きり)にしか使用せず、合否は個別試験(二次)のみで行われるというこだ。
つまり、足きりにさえひっからなければ、共通テストの得点が高かろうが低かろうが関係ないということである。
個別試験は、数学300点、物理150点、化学150点、英語150点で、合計750点満点で行われる。
数学180分(3時間)、物理120分(2時間)、化学120分(2時間)、英語90分(1時間30分)と、合計試験時間は8時間半にも及ぶハードなものだ。
東工大は難関国立大学でありながら、実質的には、数学・物理・化学・英語だけで、合否が決まる。
これが、桜修館の東大合格者0人で東工大合格者8人の謎を解くファクターなのではないかと考える。
共通テスト2年目の今年度は、数学1Aと数学2Bの平均点が歴史的な低得点となった。新傾向による出題が鮮明となったからだ。実力がありながらも、失点を余儀なくされた受験生が多かったはずだ。
ところが、国公立大学の個別試験は、大きな変化が予測されていなかった。
ここで、桜修館の現役大学受験生は機敏に動いた。
東大よりも東工大に出願する方が有利だと。
その結果として、東大0人で、東工大8人に、なった可能性がある。
最後に誤解のないように申し添えるが、この件から学ぶべきことは、東工大の合格者選抜の特殊性だと考えている。
難関国立大学の攻略は一筋縄では行かないのである。
しかしそれは、大いなるチャンスでもある。
*次回は「【九段】東大合格者数大躍進の謎を解く」を予定している。