[2022年4月8日]
大学進学を前提にした中学入試や高校入試での志望校選択で、偏った情報に依存して判断をしている人が多いように見受けられる。
文部科学省は、国公立大学を念頭に、入学者の3割以上を、学校推薦型選抜や総合型選抜で選抜することが望ましいとして、一般入試の比率を下げることを推進している。
そもそも、「学校推薦型選抜」(旧「指定校推薦」)は、私立大学のお家芸であった。今も健在で、私立大学の入学者全体の約40%が、「学校推薦型選抜」による入学者である。「総合型選抜」(旧AO)が約15%を占めるので、私立大学における入学者の約55%が、学校推薦型か総合型となる。
しかも、「学校推薦型選抜」による入学者を100%とした場合、私立大学では、公募型が約25%、附属校・系列校型が約15%、指定校型が約55%である。
つまり、私立大学では、入学者全体のうち、附属校・系列校型は約6%に過ぎず、約49%が「附属校・系列校以外」からの学校推薦型か総合型での入学者となる。
結論として、私立大学に進む場合、「附属校・系列校」から進学するよりも、「附属校・系列校以外」から進学する方が、かなり広き門となっているのである。
中学入試や高校入試で附属校を目指す親子は、特に親は、この事実を知らないことが多い。
その証拠に、事実をお伝えしても、数値をお伝えしても、そうは言っても附属校からの方がお得だという考えを変える人はほとんどいない。
私立大学の附属校や系列校ではない、ある有名私立中高一貫校では、学校推薦型選抜での進学は勧めていない。理由は、学校推薦型で合格できるなら、一般選抜でも合格できる可能性が高いから、志望大学だけでなく志望学部を含め、将来の可能性を狭めるような進路選択となるので、受験生本人のためにならないと考えているからなのだそうだ。
もちろん、希望する生徒の出願を妨害することまではしない。
ただ、受験生やその親が、過度な不安に陥っていることが多いので、もっと勇気をもって大学受験に挑むことをお勧めしているというのが本音のようだ。
共通テストへの移行に伴う大学入試改革や、都内私立大学の定員厳格化で、より安全を目指して、というよりは、過度な不安から、私立大学附属校の人気が急上昇したが、そもそも共通テストへの移行は私立大学の場合は大きな影響はないし、定員の厳格化で何が起こったかと言えば五月雨式の追加合格の嵐でしかなかった。
私立大学附属校を選択した多くの受験生は、私立大学附属校を選択しなくても、同じ私立大学以上に進学できた可能性が高い。
むしろ、国公立大学や最難関私立大学への可能性を自ら排除してしまったことの機会損失の方が大きいかもしれない。それ以上に、希望学部に進めなかったことによる、生涯における機会損失の方が大きいかもしれない。
私立大学の附属校・系列校の不都合な真実については、塾生親子には赤裸々にお伝えしてきたが、情報取得上の問題から、個別大学名を含めて、この日記では書けないことをご容赦いただきたい。
私立大学附属校・系列校人気は、悪徳教育評論家や悪徳大手予備校が捏造したプロパガンダに洗脳された親子が、私立大学附属校・系列校に殺到したことで起きた現象だと、言えるのでないだろうか。