[2022年4月18日]
都内や都市部で育った保護者や受検生が、初めて楠隼を訪れたなら、都内の私立中高一貫校や、都内の公立中高一貫校と比べて、その敷地面積の広さに驚くであろう。
まず校門を入ってから校舎までが広い。小規模な運動場が入るくらいの面積がある。
正面左手が校舎群、正面前方が体育館、その奥が武道館で、そのさらに奥がプールとなっている。
右手が運動場で、フルサイズの野球場と、陸上競技400mトラックと、テニスコート4面が、重複せずに配置されている。
正門から見て、この運動場の奥が学寮である。すべての生徒が個室を与えられる。6つの個室棟の他に、食堂としても使われる楠隼ホールと、2つの大浴場と個別浴場をもつ浴室棟や、寮保健室や面談室などのある棟など、合計で8つの建物からなる。
校舎群や体育館などとは渡り廊下でつながっているが、登校する際には、気持ちを切り替えてもらうために、一旦外履きに履き替えて、校舎入口でまた室内履きに履き替えているそうだ。
この学寮が圧巻である。すべての個室には冷暖房が完備している。学習用の机と椅子、ベッド、クローゼットがあり、ホテルにあるような小型の冷蔵庫を持ち込める。
正確な面積はわからないが、一般的な子供部屋となんら違いはない。
特筆すべきは、学寮6棟すべてに、学校の教室とおぼおなじ広さの学習室が2つずつ備わっていることだ。7時間授業が終わり、夕食と入浴を済ませた後、午後10時か10時半頃まで、学年にもよるが3時間程度の学習が行われる。そして、それぞれの学習室には教員免許をもつ指導員が配置される。
その後は、消灯まで、各個室で自由に過ごすことになるが、多くは個室の机で学習に励む。しばしば仲良しどうしが一つの部屋に数人集まって一緒に勉強することもあるそうだ。これは教室からの合格者からの情報である。
この学習環境の整った学寮の有難さは、中高生の子を持つ親でなければ理解できないかもしれない。
自宅の部屋でダラダラ過ごして、真剣に勉強しているようには見えないわが子を見て、毎日どころか毎時間ごとに「勉強しなさい」と言ったり、そう言うのを我慢してストレスをためることはない。
反抗期の子は、親に「勉強しなさい」と言われると、かえって勉強する気が失せる。
学寮にいる限り、少なくとも3時間程度は、学校授業以外に、指導員の下で自主学習を行い、多くはそれに加えて個室でも自主学習をする。
逆に、毎日決まった時間に勉強する姿を直接見ることができないことに、残念な思いをされるかもしれない。
要するに、毎日が勉強合宿のような6年間を、過ごすことになるのだ。
合格するのは都立中ほどは難しくないが、大学合格実績で互角に闘うことができる理由が、ここにある。
これが楠隼の強みなのである。
もちろん、お楽しみもたくさんあるので心配はない。むしろ、SNSやゲームなどでは体験できないような、濃密で有意義な時を過ごすことができるのである。
塾生の保護者から伺ったことだが、合格した都立中を辞退して、楠隼に入学した子もいるとのことだ。楠隼の東京保護者の会も、なかなか楽しいらしい。