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三田学院

[2022年4月26日]

【悪徳の記憶】ベレンコ中尉事件

ロシア(旧ソビエト連邦)の戦闘機ミグ25が、北海道の防空レーダーとスクランブル発信した航空自衛隊の戦闘機の追尾を振り切り、函館空港に強硬着陸した事件の記憶は、多くの日本人の記憶に残っているであろう。1976年9月のことであった。

当時ミグ25は世界最新鋭の戦闘機と怖れられていた。この脅威に対抗するため、米国ではF14とF15の開発と実戦配備を急いでいた。この時、日本の航空自衛隊には旧式のF4戦闘機しかなかった。

レーダー網と戦闘機の追尾を簡単にかいくぐり、市街地の上を数回も旋回し、民間空港にあっさりと着陸されてしまったことは、日本だけでなく全世界に衝撃を与えた。実際には、日本のレーダーと戦闘機は、このミグを見失っていたのである。

この捕獲したミグを分解してしてみたら、別の衝撃を受けることになる。

搭載されていた最新鋭の電子機器に「真空管」が使われていたからだ。すでに民生用であっても最新電子機器は半導体を装備するようになっていたから、かなり時代遅れの技術で製造されていることがわかったからだ。

今回のロシアによるウクライナ侵攻でも、撃墜されたロシア軍の軍事用ドローンに、日本製の民生個人用カメラが、本体ごとそのまま搭載されていたことがわかり、衝撃が走った。軍事用の高性能カメラやレンズや画像映像送信機能を、自前では開発配備できず、民生用品を代用せざるをえなかったのであろう。尚、ロシア向けの日本製高性能カメラの輸出は、3月で停止されている。

時代は移り、ロシアとなった旧ソ連は、第二次大戦後初となる本格的な全面戦争を隣国ウクライナに仕掛けた。

ロシアは、第二次世界大戦時のドイツのロンメル将軍を思い出させる大規模な機甲部隊で、ウクライナの首都キーフを電撃的に攻略しようと試みたが失敗し、大損害を被った。その後、その残存部隊はウクライナ東部戦線に転戦している。

1台約5億円と言われる自慢のロシア戦車は、1発1500万円の携帯型対戦車ロケットにあっけなく敗北した。

約1000億円と言われるロシア黒海艦隊の旗艦モスクワは、1発数千万円程度と思われるウクライナの対艦ミサイル2発で撃沈された。ロシアの軍艦が撃沈されたのは日露戦争以来らしい。

これらから得られる教訓は何であろうか。

実力以上の虚勢を張れば、真実を知らない周囲は、怖れをなすようになる。

これは、国家間だけでなく、会社間や人間間でも起こりうる。

悪徳学習塾や悪徳予備校が、実力以上に虚勢を張れば、真実を知らない一般の消費者は、それが実力だと信じるようになる。

ロシア軍の虚勢は、ロシアからの亡命を試みた、ロシア軍人の行動で、その虚勢が明るみになった。

悪徳商人の虚勢は、悪徳集団から手を洗おうとする、元悪徳の手下の告発でしか、虚勢は暴けないのかもしれない。

隣県の大手学習塾どうしの闘争で、真実が暴露された事件のように。