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三田学院

[2022年4月28日]

【核兵器】のない世界へ

残念なことに、核戦争の脅威が、新たな局面に入ったかもしれない。

受験や教育には関係ないように思われるかもしれないが、実は深く関係していると思うので、書いておこうと思う。

2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊(こしばまさとし)氏は、愛知県豊橋市生まれの物理学者で、ニュートリノの研究で偉業を成し遂げた。

このニュートリノの研究成果を発展させて、核兵器を無力化する研究が、密かに進んでいる。

素粒子物理学や原子核物理学や中性子物理学などとの協力による、モンテカルロ法によるコンピュータ・シムレーションでは、すでに理論上は実現可能な段階に入っている。

誤解を怖れず簡潔に言えば、ニュートリノを核兵器に照射することによって、不完全核爆発を起こさせて、核兵器を実質的に無力化する、という技術である。

研究者の手弁当だけでは実現できない技術なので、実用化のためには巨額の予算が必要になるであろう。

それは、文部科学省でも、経済産業省でも、防衛省でも、自衛隊でも、あるいは産業界でも、どこの予算であっても構わないが、実現し実装できれば、自国の安全保障に寄与するだけに限らず、全世界の核兵器の廃絶につながる可能性がある。

過度な恐怖は、狂気となり、凶器となる。

攻撃力を高めることだけが、安全保障ではない。

核兵器の恐怖から逃れようと、核兵器をさらに拡散させても、破滅する危険性を高めるだけでしかない。

核兵器のない世界を実現するために、核兵器を無力化する科学技術の発展に期待したい。

軍備を増強したり、新たな法律を成立させたり、既存の法律を改正したりするよりも、より実効性のある解決策になるのではないだろうか。

核兵器のない世界を実現する努力と、平和な世界を子どもたちに届ける努力を、けっして惜しんではいけないのである。