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三田学院

[2022年5月11日]

【都立中】大学入試が激変する

大学受験における一般入試が激変する。

新しい学習指導要領が今年度(令和4年度)から本格施行となった。最も大きく変更になったのは高校内容である。

今年の高校1年生から「新課程」、今年の高校2年生までが「旧課程」となる。これを受け、今年の高校1年生から、大学受験が、特に一般入試が、激変する。

社会科では、地理総合、歴史総合、公共、世界史探求、日本史探求が新たな教科として加わった。代わりに、地理Bや、世界史Bや、日本史Bなどが消える。

国語科では、論理国語が新設される。

数学科では、大学の教養課程に移行していた数学Cが、また高校課程に戻った。共通テストの数学の科目として、「数学1」、「数学A」、「数学2」、「数学B」に、「数学C」が加わる。

さらに、情報が教科として加わる。共通テストでは必須になることが予定されている。

商売上手な塾や予備校が、盛んに宣伝した英語以上に、英語以外が大きく変わる。

*英語については別の機会に詳説するが、徐々にだが、4技能に踊らされる前に、従来からの英文法・英語語法や、英語構文や、英単語・英熟語にしっかり取り組まないと、4技能にも対応できないことが、理解されるようになりつつある。日常生活で英会話に触れる機会や時間数が圧倒的に少ない日本に暮らす小中高生が、ヨーロッパ言語が話されている国や地域の人々のように会話優先で英語に勤しんでも、多くの人が到達できる英語力の水準は高くはない。時間と労力の非効率な使い方になりかねない。外国語学部などを目指す人を除けば、「読める」と「書ける」を優先した方が有効であるし安全である。英会話だけでは、英語の4技能入試は、攻略できない。

国公立大学入試は文系も理系も、また「共通テスト利用」や「共通テスト併用」入試を行う私立大学の文系学部の入試で数学を選択すると、この「数学C」も合格判定に必要になる。理系はそもそも逃げられない。

今春の大学入試「共通テスト」では、数学の平均点の低さが問題になった。「解法パターン」に頼りきった大学受験生は、軒並み大きな失点を余儀なくされたようだ。

大学入試における数学は、特に「大学入試共通テスト」の数学は、新課程入試を待たずに、「思考力」型に大きく舵を切った。今後さらに本格化して行くと思われる。

思考力型といっても、「都立中の適性検査算数」とは必ずしも一致しない。むしろ違う。実際の入試問題を見てもらえば分かるが、どちらかというと「難関私立中入試の思考力算数」に近い。

文部科学省が意図しているのは、「数学は実社会で役に立たない」という「都市伝説」の払拭である。この都市伝説が数学を学ぶことを回避する口実になっていることに、業を煮やしていたのではないかと思う。

「数学こそ実社会で役に立つ」

学生時代に、数学を本気で学んだ人なら、そう思っていっるのではないだろうか。

「数学は実社会で役に立たない」

そう思っているのは、学生時代に、数学を本気で学んでこなかった人だろうと思う。

今年の「共通テスト」では、三角比・三角関数の問題として、地球が球体であることを前提にした、角度などを求める問題が出題された。

気がついた人もいただろうが、これは中距離型のミサイルで標的をロックオンする方法と、うり2つである。大学入試の出題のされ方としては、どうだろうかと思うが、数学における「思考力」とは、そうしたことをイメージしている。

三角比・三角関数の思考力型問題としては、自家用車に実装されるようになった「自動運転システム」を例にした方がよかったのではないかと個人的には思う。高さと角度が分かれば距離が分かる。リアルタイムで演算をし続けることができれば、事故を回避できる。

これまでの数学は「解法パターンを暗記」すれば正解できるような問題がほとんどであった。意味を理解していなくても解けた。社会で実装したり応用したりすることを想定できなくても解けた。

しかし、今後は、それでは解けないような問題に移行して行くのではないかと予想している。

ここで大切なことは「算数や数学の本質を理解できているか」ということである。

都立中の適性検査で頻出の、平面図形の敷き詰め問題は、面積の問題というよりは、最小公倍数とか最大公約数を使いこなせるかが問われていることが多い。

都立中の適性検査で頻出の、覆面数字を当てる問題は、出題の仕方にもよるが、演算記号を正しく理解して使えるかはもちろんことだが、「条件整理」をして、候補を絞り込んでいくことができるかを問われることが多い。ここでは、小学数学の検定教科書では扱わない「論理と集合」(高校数学)、「必要条件と十分条件」(高校数学)の基礎となる考え方までが求められる。

多摩地区の都立中では過去に「二項定理」が出題された。都心地区の都立中では過去に「ルーローの三角形」が出題された。他にも上げればきりがない。これらは小学校算数では学ばない。

公立中高一貫校の適性検査は、「小学校の学習内容からしか出題されない」としていながら、中学や高校で学ぶようなレベルの内容も出題されるという点で、実に厄介である。もちろん、小学算数だけで解けるように配慮はされているが、多くの受検生は、時間不足に陥るか、途中で混乱して正解までたどりつけない。

繰り返すが、算数や数学の本質を理解できているか、ということが問われているのである。その上で、算数や数学を使って課題を解決できるかどうかまでもが検査される。

分かっても解けなければ得点にならない。

残念ながら、新課程になる高校数学の検定教科書も、新課程になる中学数学の検定教科書も、新課程になる小学算数の検定教科書も、

「実社会で役に立つ」

ような、算数や数学の内容には、まだ、なっていない。

章や単元ごとに、数ページほどのコラムを追加で設けて、お茶を濁しているに過ぎないものがほとんどだ。

指導内容を策定する担当省庁や、それに沿って学習指導する学校教員も、「新しい数学の学び」を掲げていながらも、自らが対応できていない。

大手塾や大手予備校は、実際の入試問題を見ながら指導内容を策定していくので、さらに遅れる可能性がある。末端の講師になると、そこからさらに遅れる可能性がある。

大学受験用の、数学の参考書や問題集は、今あるほとんどが、今後は役に立たなくなる可能性がある。

公立か私立かを問わず、進学校における高校課程の数学指導は、

・サクシードや4STEPなどの「傍用問題集」
・青チャートなどの「網羅系参考書・問題集」

の組合せがオーソドックスだったが、これらの教材が今後本格的に思考力型数学に対応するか、あるいは別の教材に入れ替えるかしないか限り、今後さらに、新しい数学には対応できなくなっていくだろう。今年の大学入試共通テストで起きたようにである。

今春の大学入試共通テストの数学問題の変化を受けて、ここ数ヶ月、それらに対応する方法を模索してきた。

そして、やっと、新たな対策を見出すことができた。

本日以降、現高1以下の塾生に案内を開始する予定である。

良い教材や良い指導に出会えても、理解できなければ、自分の物にできなければ、意味はない。

「ワカらない」では「ウカらない」

知識や技能をしっかり身につけた上で、それぞれの本質をしっかり理解し、そして使えるようにならなければならない。

これは、どの教科にも言えることではある。

それこそが、

「実社会で役に立つ」

のだから。


<夏期講習募集のご案内>
募集期間:5月23日から6月20日(早期終了もあり)・・注
実施期間:7月26日から8月31日(開講時間の拡大期間)
特典内容:講習料20%引き(詳細は体験授業の際にご案内)
募集人数:5名以内(曜日により3名以内)の手続完了順

注)通塾は残席がなくなりましたら募集終了します。在宅は指導余力がなくなりましたら募集終了します。通塾の残席に余裕はなく、在宅もさほど余力はございません。

*通塾受講と在宅受講のプランがございます。通塾と在宅の組合せもできます。

*通塾プランと在宅プランで講習料が違います。在宅料金は通塾料金より(教科数などによりますが)半額ほどになります。

*通塾授業料はそもそも大手塾より大幅に格安です。小6では大手塾の半額から3分の1程度の額になります(比較する大手塾による)。

*夏期講習もコース毎の募集となります。コース毎に募集学年や募集基準が異なりますので、コースごとのページでご確認ください。

*今年度は、特別に6月15日を目途にして、募集を早期終了するコースがございますので、特設・基礎学力育成コースのページでご確認ください。

*夏期講習期間中も通常授業を実施します。また、夏期講習期間中も通常コースの募集は行います。

*中1の高校受験生は、この夏期講習の募集が最後の入塾機会となります。中2と中3の高校受験生は募集しておりません。

*今年度は、大学受験コース(高校生コース、中高一貫生コース)などの指導内容充実に取り組んでいるため、6月20日以降の募集人数は例年より大幅に絞ります。多くのコースは、コースごとのページにございます募集期日よりも早く、募集を停止いたします。救済措置は行いません。

詳しくは体験授業の際にご説明したします。