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三田学院

[2022年5月21日]

【都立中】実は、受検はコスパが悪い

都立中はコスパが良いが、都立中受検はコスパが悪い。

正確に言えば、

都立中はコスパが良いが、大手塾からの都立中受検はコスパが悪い。

コスパ=入手できる利得×実現可能性(合格率)−かかった費用

と定義すると、

*ここで利得は正確には「利得の期待値」のこと(利得×生起確率で求められる)である。「期待値」は、最新の高校数学の学習指導要領の改訂で「数学A」(高1範囲)に追加されることになった。2025年から共通テストの出題範囲となる。大学では理系だけでなく文系でも、教養課程の「統計学」(統計学基礎)で最初に学ぶ内容なので、保護者にも馴染みは深いであろう。そこまで難しく考えなくても、中3数学の「標本調査」単元の「平均の推定」で十分理解できるであろう。

入手できる利得=私立学校6年間の費用−都立6年間の費用
       =700万円−200万円
       =500万円

実現可能性=大手合格率=実倍率の逆数≒20%

かかる費用=大手塾3年間の授業料など=300万円

よって、

コスパ=500万円×0.2−300万円
   =100万円−300万円
   =−200万円

大手塾に通って都立中受検すると、パフォーマンスの期待値(平均値)はマイナスとなる。

さらに、都立中に不合格になって、高校受験のために大手塾にさらに3年間通うと、また最大で300万円かかる。

3年後に都立高校に入学することを前提で計算すると、

入手できる対価=私立学校3年間の費用−都立3年間の費用
       =300万円−100万円
       =200万円

コスパ=200万円×0.5−300万円
   =100万円−300万円
   =−200万円

3年後に私立高校に入学することを前提で計算すると、
コスパ=0万円×1.0−300万円
   =0万円−300万円
   =−300万円

純粋に、都立中受検費用と高校受験費用を合算すると600万円となるから、都立中に残念になり、都立高校も残念になると、そこに私立高校3年間の学費など300万円が加算されることになり、合計は900万円の損失となる。

しかも、都立高に失敗して入学する私立校は、教育環境が良好とは限らない。低偏差値私立高校となる可能性が高い。

これに対し、私立中高一貫校を目指して確実に私立中高一貫校に合格できた場合の総費用は、

大手塾授業料等300万円+私立中高一貫校授業料等700万円=1000万円となるので、

都立中も都立高にも失敗した場合との差額は100万円にしかならない。

しかし、公立中学な度とは違う6年間の教育環境を得られるから、都立中と都立高校に失敗した場合と比べて、差額100万円で、6年間の良好な教育環境を手に入れることになる。

この問題を解決する方法は2つしかない。

コスパ=入手できる対価×実現可能性(合格率)−かかった費用

のうち、入手できる対価は変更できないから、

実現可能性を劇的に改善させるか、かかった費用を劇的に抑えるか、である。

実現可能性や費用は大手に通う限り改善できない。

大手塾からの都立中受検はコスパが悪い。

まともな私立中高一貫校に合格できない都立中受検指導塾からの都立中受検は、特にコスパが悪い。

節約しようとして、そのために巨額の費用を払いながらも、節約しようとした節約ができなかった。つまり巨額の費用を払っただけに終わった。

これが、都立中受検指導塾からの都立中受検した、大多数の受検生親子の、末路なのだ。

ご参考までに、

コスパ=500万円×0.6−300万円なら、
   =300万円−300万円
   =±0万円

コスパ=500万円×0.3−150万円なら、
   =150万円−150万円
   =±0万円

さらに、

コスパ=500万円×0.6−150万円なら、
   =300万円−300万円
   =+150万円

コスパ=500万円×0.8−150万円なら、
   =400万円−150万円
   =+250万円

となる。

つまり、「合格率が高く費用が安い塾」からの都立中受検なら、採算は十分に見込めるということだ。

*次回は、「間違いだらけの大学受験(大学進学)」を予定しています。進学校から大学受験をする場合と、中学や高校から附属校に入り大学進学を目指す場合で、それぞれに陥りがちな間違いをご説明します。

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