[2022年6月17日]
ここ2年は、新型感染症拡大で、調子が乗らなかった受検生もいたことだろう。
そのさなか、首都圏の私立中学受験は受験者数が大幅に増え、史上最高の受験者数を更新してきた。
背景には、新型感染症に対する地元公立学校の対応の遅れや不手際があったと思われる。
近年の中学受験者総数の増加を押し上げたのは、埼玉や茨城であった。どちらの県も、公立中高一貫校の新設が相次いだことも要因になっている。
気をつけなければならないことは、都立中などの公立中高一貫校の倍率が落ち着いてきている一方で、難関私立中を目指す受験生による都立中の併願率が増えていることだ。
都立中は「倍率低下」かつ「激戦化」の様相を呈している。
これは、次の入試でも続くと見ておいた方がよさそうだ。
都立中受検生は、特に都立中合格者は、通塾率が高まり、通塾開始年齢が早まっている。
ある都立中の都立中による調査では、「塾なし」もしくは「無回答」は5%を下回る。
また、通塾開始年齢は、小6が減り小4が多くなってきていて、私立中受験との違いがなくなりつつある。
これも、難関私立中受験生による併願の増加の影響が大きいと思われる。その他に、都立中第一志望の受検生の早期準備開始の影響もあろう。
もう少なくなったと思うが、受検すれば合格できそうな「根拠のない楽観」は、都立中受検においては、もはや通用しない。
しかし、私立中受験に比べて、いまだに楽観的な保護者や受検生が生息しているのが、都立中受検の特徴でもあろう。
実は、さまざまな難易度から受験校を選択でき受験機会が多い私立中受験こそ併願の組み方によっては楽観できるのだが、それでも私立中受験生親子の悲壮感の方が相対的に強いことは興味深い。
選べるからこそ、結果の明暗が、実力の明暗が、はっきりするので、楽観はできないということなのだろうか。
倍率が高いから合格できないという言い訳は、はるか以前から通用しないことは、私立中学受験の世界では常識である。
ところが、いまだに公立中高一貫校は倍率が高いから合格が難しいという言い訳が通用しそうな「雰囲気」が残っているように感じる。
まあ、誰も「実力がないから落ちたんでしょ」などとは言わないだろうから、気がつかないままの人がいるのかもしれない。
私立中受験生親子が、そうした言い訳を口にすることはまずない。中学受験生の親から、ドン引きされることを知っているからだ。
さて、私立中受験生で高校受験に廻る数は非常に少ないが、都立中受検生で高校受験に廻る数は少なくない。
誰もが魅力的だと感じる学校に合格するのは、中学受検や中学受験でも、高校受験でも、大学受験でも、非常に厳しい闘いになるが、そのことをしっかりと認識できている将来の受験生親子は、どれだけいるのだろうか。
中学受検や中学受験の失敗を、高校受験や大学受験で繰り返す愚だけは避けたいものだ。
その前に、中学受検や中学受験の失敗を、適切に回避したいものだ。