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三田学院

[2022年6月23日]

【都立中】密かに起きていた大きな異変

今春(令和4年度入学)の都立中入試で、まだ誰も言及していないような大きな異変が密かに起こっていた。

全体で見れば、男子よりも女子の方が激戦であると言われ続けてきた都立中入試だが、少なくとも今春を見る限り、そうとは言い切れなくなっている。

明らかに男子の方が激戦になった都立中を例示しておく。

■小石川、桜修館

この2校は、女子の合格難易度が厳しいことで知られてきた。しかし、今春に限っては、男子がそれを上回る激戦となった。女子が平易になった訳ではないから、男子は相当な激戦であったはずだ。

続いて、男女の難易度の差がほとんどなくなった2校を例示しておく。

■都立武蔵、九段B

この2校も、女子の激戦で有名だった。ところが男女差がほとんどなくなった。つまり、男子の難易度が、さらに上がったのだ。

もはや、都立中は、女子が合格しにくく、男子は相対的にやや合格しやすいという見方は、通用しなくなった。

ここから考えられることは、都立中は、難関国立大学や最難関私立大学への合格率が、将来にもう一段増加する可能性があることだ。

■都立中全般

この密かな異変の中でも、女子の難易度が下がった訳ではないことには注意が必要である。

全体の難易度は下がらずに、上位校を中心に男子の難易度が上昇した、と解釈するのが妥当である。結果として、全体でも難易度は上昇している。

これを見越してなのか、令和4年度の共通問題の適性2が、例年になく難しかった。一部では、独自問題の適性3よりも難易度が高かった。必然的に、合格ラインの得点率は、例年になく低かった。

ただし、すべて独自問題の九段は事情が違う。例年並みの難易度だった。よって、ボーダー得点率はここ数年の中でも高い。

ここからも、今春は、全体の難易度が上昇したと読み取るのが、妥当であろう。

長引く景気低迷、長期間に及ぶ家計所得の停滞、そして急激に進む消費者物価の上昇。

優秀な中学受験生が、都立中を目指す傾向を強める可能性が、さらに高まっている。

今、密かに、都立中入試で、異変が起きているのである。

この厳しい都立中入試を、巷の受検生は、どのように突破しようと、考えているのだろうか。