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三田学院

[2022年6月27日]

【都立中】大学の偏差値と難易度

大学の偏差値について、不毛な議論を見かけるので、少しだけ整理しておこうと思う。

1.入試科目数の違う大学どうしを、偏差値で単純比較しても意味はない。

国公立大学に一般選抜は一次試験は5教科6科目や7科目で、二次試験は3教科や4教科で、合否が決まる。一方で、多くの私立大学では3教科で合否が決まる。

得意科目3教科で競い合う私立大学の偏差値は、それ自体で偏差値がインフレする。

分かりやすい例を示しておこう。

「国際教養大学」の一般選抜は、ABC日程と3回行われるが、国立型に近いA日程の偏差値が最も低く、国公立型と私立型の中間的なB日程はA日程より5ポイント以上偏差値がインフレし、完全私立型に近いC日程は10ポイント以上偏差値がインフレする。

もう一つ例示しておこう。

入試日が同じで2つの入試方式を選べる横浜市立大学も、完全国立型のA方式よりも、私立型に近いB方式の方が、やはり5ポイント以上偏差値がインフレする。

しかし、大学側は、A方式で入学した学生の方が、明らかに優秀な傾向にあると明言している。

2.入試に複数日程があると偏差値はインフレする

これは中学入試では周知の事実なので詳しく説明するまでもないだろう。入試日程を複数組めば、定員は分割され、それぞれの入試回の定員は小さくなるから、偏差値はインフレする。

3.複数校の併願可能な入試は偏差値がインフレする

2にも関連するが、入試回が1回のみで、同一日程でライバル校が入試を行うと併願ができないから、優秀な受験生が分散する。よって偏差値は、そうでない場合と比較して見かけ上はかなり低くなる。

大学を偏差値でどちらが難しいか易しいかを判断する際には、こうした点をふまえて検討すべきである。

例えば、大阪大学工学部と、明治大学政治経済学部を、偏差値で比較しても、ほぼ全く、意味がない。

偏差値的には明治大学政治経済学部の方が高く表示されるが、どう考えても、大阪大学工学部の方が、合格難易度は高い。

国公立大学どうし、私立大学どうし、かつ同じような入試方式であれば、偏差値で比較するのは、それなりの意味があるかもしれない。

しかし、国公立大学どうしであっても、二次試験の入試科目数などによっては、単純比較は難しくなる。

例えば、旧帝国大学とそれ以外では、数学の難易度や出題傾向が違う。また、筑波大学の二次試験の社会は記述の字数が多いことで有名だが、東京大学の二次試験の社会並みに記述対策をしっかりしておかないと得点が難しい。「共通テストの社会」や「私立一般選抜の社会」で得点できたとしても、筑波の二次試験の社会で得点できるとは限らない。

偏差値だけで難易度を語るのは不毛なことが、少しはご理解いただけたであろうか。