[2022年7月22日]
今回の話題は、
「私立大学定員厳格化」ではなく、
「私立大学定員厳格化」の『緩和』である。
2023年度の私立大学入試から適用になる。
大学受験生をさんざん苦しめた定員の「厳格化」が、ついに『緩和』される。
どんな影響があるだろうか?
早稲田や慶應には大きな影響がない。なぜかというと、追加合格は国公立大学との競合でしか、ほぼ起こらないからである。
では影響があるのはどのゾーンか?
SMARTとかMARCHとか呼ばれているゾーンと、そのやや下あたりと思われる。
これより難易度が下のゾーンは、実質定員割れだから、これまでも、どんなに水増し合格させても、定員を大きく超える入学者はいなかったからだ。
中学入試や高校入試はどうか?
大学入試まで詳しく調査して中学入試や高校入試に臨む受験生親子は多くはないようだから、教育評論家やメディアがどの程度大きく取り上げるかによるが、もし広く知れわたれば、MARCHや成成明学獨や日東駒専あたりの、過熱気味の附属校人気に、水をさすことになる可能性がある。
大学受験生にとってはどうか?
今年度の受験生には朗報になろうが、来年度の受験生にとっては厳しいことになる可能性が高い。
なぜなら、『緩和』は、単年度の入学者数ではなく『全学年』の入学者数で判定されるからだ。今年度に入学者を取りすぎても、単年度ではお咎めはないが、来年度以降にその分を調整しなければ、お咎めの対象になるからだ。
多くの大学は、この『緩和』を受けて、水増し合格者数を増やす方向に動くであろうから、その埋め合わせは来年度以降ということになるはずだ。
私立大学のみを受験する今年度の浪人生に最も朗報になるであろう。
残念ながら、この私立大学定員厳格化緩和は、国公立大学を目指す受験生には影響はほとんどない。特に難関国立大学を目指す受験生は、併願私立大学で過度に弱気にならなければよいだけだ。
次回は、共通テスト(共テ)の数学について書いておこうと思う。今春に共テの数学で失敗し、大学入試が上手くいかなかった大学受験生親子の恨み節が、いまだに巷に渦巻いているからだ。
大手予備校が、適切な対応策を示せなかった
受験生親子が、適切な対応策を知らなかった
どちらかが原因であろう。
受験結果が望み通りにいかなかったことを、受験制度や他の受験生などを理由にして、自己弁護や言い逃れをしてはいけない。不正や出題ミスや採点ミスでもない限り、責任は受験生本人と受験生保護者にある。
これは大学受験に限られたことではない。そもそも、個人の学業成績の不振は他人のせいではない。他人のせいだと思うのは被害妄想であろう。
実は、数学の低平均問題には、シンプルな対応策がある。
共テの数学は、同じく低平均点となった、共テの生物や日本史などとは、根本的な違いがある。
来年度の大学受験生親子には、ぜひ参考にしていただきたい。
そして、最後の受験で、失敗をしないでいただきたいと思う。