[2022年9月10日]
大都市圏だけでなく、中学受験は遅くとも小3の冬には開始するものだとの認識が常識となって久しい。今や中学受験で成功したいなら小3開始でも遅いという考えが優勢となっている。
そうした状況では、中学受験組親子と高校受験組親子との意識の差は開く一方である。
教育熱心な親子が、こぞって中学受験に雪崩れ込んでいることが、それに拍車をかけている。
中学受験をしない親子の教育意識は総じて低い傾向にある。教育熱心ではない親子が高校受験に残るからである。
かつて、中学受験が一般的ではなかった頃、教育熱心な親子は、小4や小5から高校受験指導塾で対策を開始したものである。
そして、英語と数学の先取学習に取り組んだものであった。
英語は中2の夏までに、数学は中2の冬までに、高校受験範囲を学び終えるのが、標準的な進学塾の速度であった。
小4や小5で始めれば、ムリなくこの速度に乗れる。
ある意味、究極のゆとり教育であり、英才教育でもあった。
中学受験が盛んになって、高校受験対策の実態が大きく変化してしまった。
学力優秀で勉強熱心な受験生が中学受験対策にこぞって抜けてしまうので、学力平凡で勉強嫌いな高校受験予定の小学生ばかりが高校受験に残るようになり、高校受験予定の小学生向けの塾は、いわゆる勉強落ちこぼれ向け指導が中心となってしまった。
これにより、介護型の個別指導塾が興隆を極めるようになる。
そして、かつては多くあった、学力優秀で勉強熱心な高校受験予定の小学生を対象にした塾のほとんどが、街から消えた。
優秀な高校受験生は、しかたなく、中学受験指導塾に通いながら、高校受験の準備をしなければならなくなった。
しかし、中学受験と高校受験では、準備や対策が根本的に違う。
中学受験に特化すればするほど、高校受験には向かなくなる。
中学受験指導塾で高校受験準備をしたのでは非効率極まりない。
では、公立中高一貫校向け専門の受検塾なら、高校受験の内容にスムーズに接続して行くかというと、そうでもない。なぜなら、高校受験は適性検査ではなく学力検査(学力試験)だからである。都立高校入試はマーク式である。記述式や論述式とは正反対となる。
話しを戻し、中学受験と高校受験の大きな違いは次の2つである。
まず、特殊算は高校受験ではほぼまったく必要でないこと。
次に、高校受験で成功の鍵を握るのは受験英語であること。
英語は、しかたなく、近所のおままごと英会話教室に通うことになってしまう。
しかし、英会話と受験英語は、似て非なるモノである。
英語長文読解、英語作文、英文法などは、おままごと英会話は、高校受験に耐えられるレベルにない。
本格的に高校受験に取り組む際は、もう一度、受験英語を学び直さなければならなくなる。
これは、算数計算教室に通う子が、高校受験数学を学び直すよりも非効率となる。
高校受験に焦点をあてるなら、初めから高校受験対策を始めるのが効率的であるし、成功への近道である。
やむなく中学受験指導塾に通ったり、こども英会話教室や算数計算教室でお茶を濁していたのでは、成功の機会を失いかねない。
むしろ、変なクセがついて、矯正に時間を費やさなければならなくなる。しかも、もう直らなかったりする。
中学受験が盛んになり過ぎて、教育熱心な家庭でありながらも高校受験を目指す小学生には、適切な居場所がなくなってしまった。
多くの学習塾が、採算がとれないがために、優秀な小学生向けの高校受験指導から撤退してしまったからである。
それにより、教育熱心でありながらも高校受験を目指す親子は、そうした塾があることにさえ、気がつかなくなってしまった。
高校受験を目指す小学生向けの学習塾は、今やほとんどが、学力平凡層か学力底辺層を対象としているからだ。
その結果、意図せず回り道をせざるをえなくなったのである。
高校受験こそ、小4から開始すべきである。
遅くても小5の早期には開始すべきである。
しかも、優秀な小学生に限定的して高校受験指導を行っている学習塾で開始すべきである。
これが成功への道である。
これが合格への道である。