[2022年9月12日]
今、目に見えているものは、事象の表面でしかないことは、誰もが知ることであろう。
思考力とは何かを端的に捉えるならば、理系問題なら、裏を見ることができる力と言えよう。文系問題なら、裏を読み取る力とも言えるだろう。
公立中高一貫校の頻出問題に、立体図形の積み木がある。
見えているのは、一部の側面でしかない状態で、全部でいくつありますかという問題が出題される。
もう少し手の混んだ適性検査問題としては、一定の規則で摘まれる立体図形が、見えている段までではなく、もっと多くの段まで積んだ場合に、いくつになるかという問題も出題されている(都立小石川の過去の適性3をご参照いただきたい)。
裏を読む力は、適性検査を突破する上で、非常に重要な学力となる。
夏期講習で、当塾オリジナルの、ねずみ算と、ピラミッド算を、即興で扱ったが、裏を読む力は、ここでいかんなく発揮される。
*この手書きの即興問題は、在宅生には近く郵送する。
*理科の即興も扱ったが、これも近いうちに郵送する。
*夏期通塾生は授業で扱ったのでよく復習しておくこと。
*理科は小石川の予想問題なので、他校が志望校なら正答できなくてもかまわない。
*アワアワ問題ではなくカチカチ問題である。受験理科では解けないあの問題のこと。
中学生にも参加してもらったが、意外にも、数学を学んでいる中学生よりも、思考力型算数を学んでいる小学生の方に、早く正確に解ける塾生が多かった。
学力試験と適性検査では、求められる基礎学力は似ていながらも、問われる学力は大きく違う。
ちなみに、ねずみ算は「指数関数」を使えば早く正確に解ける。
一方で、ピラミッド算は「数列」を使えば早く正確に解ける。
指数関数も数列も高校数学なので、小学生も中学生も、試行錯誤をしなければ解けない。
分からなければ、書き出すしかないが、書き出す途上で規則性を見抜けるかどうかが、勝負を分ける。
指数関数も数列も、答えを算出する段階になれば、四則演算になる。
ここで間違えた中学生もいた。計算を間違えたということだ。
入試では、自分が計算ミスをしているかを試験中に知ることは、なかなか難しい。解き直してもおなじ計算ミスをしたら発見できない。
正確な計算力は、実は小4までに、ほぼ決まる。
ここまでに、正確な計算力を身につけられるかが、勝負を分ける。
計算は、だた正確に計算できればよいというものではない。
7×7×7・・なら、規則性を見出すのは容易だ。
ところが、2×7×7・・になると、途端に規則性を発見できなくなる子がいる。
さらに、2×4×4・・だと、大混乱して、いつまでも答えにたどりつけない子が続出する。
2×2×2×2×2・・と、見分けがつかなくなるからだ。
計算では、意味を考えながら正確に計算できるようにならなければ、高度な計算力は身についていかない。どこかで、突然に、数学が苦手になる可能性が高い。
一方で、思考力、つまり裏を読む思考力は、小5以降も磨くことができる。というより、学齢相応の思考力が常に問われ続けることになる。小4で思考力優秀でも、そこで止まれば、小5や小6相応の思考力が求められると、脱落してしまう。
よって、思考力は、常に磨き続けなければならない。
思考力は考え抜くことで磨くことができる。
考え抜かないと思考力は磨かれて行かない。
解き方を知っていれば解けるのは、学力試験である。
解き方を見出せるか問われるのが、適性検査である。
裏を読む力
大人であっても、誰もが身につけている力ではない。
裏を読む思考力
裏を読もうとしなければ、育たないし身につかない。
保護者が表しか見なければ、子は表しか見ようとしなくなる。
保護者が裏を見ようとしなければ、子は裏を見ようとしない。
保護者の姿勢が、子の姿勢にも影響する。
学校では、裏を見るような指導はしない。
学習指導要領は、その指導を求めていない。
裏を見れなければ、いくら見廻しても、真相は見えない。
裏を読めなければ、いくら考えても、真実は分からない。
その意味からも、適性検査は難しい。
いや、
その意味からも、適性検査は悲しい。
見えない人には、いつまでも見えない。
分からない人は、いつまでも分からない。
見えているモノだけで考える人と、
見えないものまで見抜ける人とは、
導き出す答案も、違ってくる。
適性検査は、その意味で、とても悲しい。
深い思考力
ただ学力向上させればつくのではなく、
ただ受身で教わればつくものでもない。
特に、難関公立中高一貫校は、そんな姿勢では勝負にならない。