[2022年9月14日]
私立中学受験で「ゆる受験」という言葉が流行ったが、これは近年の中学受験熱の高まりで、例年なら参戦しないような受験生が増えたことが背景にあるようだ。
小5や小6になって、私も中学受験しようかなと軽い気持ちで受験することを指しているのだと思われる。
そうした受験生が合格できる学校は、どんな学校かは容易に想像がつくだろう。
少子化で受験者数の減少に頭を悩ませていた私立学校にとって、非常にありがたい現象なはずだ。
もちろん、高校受験ではそれなりに生徒を集められていた私立学校は多いから、3年間ではなく6年間も通ってくれるという意味での有難さということになろう。
公立中高一貫校はどうか。
ゆる受験ではなく「ゆる受検」ということになろうが、都内の公立中高一貫校は定員割れは起こしていないし、優秀な受検生どうしでの闘いになるから、「ゆる受検」で容易に合格が取れるような学校はない。
ネット上には、
「優秀な子が残念になり、伏兵のような子が合格した」などという書込みをいまだによく見かけるが、今どき大した対策をしないままで合格できる子はほぼいないから、伏兵とみなされた受検生は、実は伏兵ではなかったというのが実情だろう。
つまり、
そうした書き込みをしている人には「人を見る目がなかった」のだと考えられる。
確かに、
あの子なら合格できるよねと誰もが思う子が残念になるのが、都立中受検である。
しかし、
合格しそうにないねと誰からも思われていた子が合格することはない。
もう、ほとんどの人が、そう理解していることだろう。
少なくとも、私の見る限り、合格しそうにない子が合格することはない。
その認識の広がりが、近年の実受検場率の大幅な低下につながっているのだと考えられる。
「ゆる受検」は通用しない。
実質定員割れの低偏差値私立校と、都内公立中高一貫校は、事情がまったく違う。
有名私立中学には合格できそうにないから、都立中なら合格できるかもと思う人は、
人を見る目がないのではなく、現実を見る目がないのであろう。
むしろ、「都立中には合格できそうにない子であっても合格できそうな私立中」なら、ある。
気をつけたいのは、中学受験の「ゆる受験」組は、高校受験でも「ゆる受験」になる可能性があるということだ。
中学受験でなら合格できたかもしれない低偏差値校にさえ、高校受験では合格できないということになりかねない。
その意味では、高校受験の方が残酷かもしれない。