[2022年10月4日]
公立中高一貫校を目指す親子は、公立中高一貫校に期待することは次のようなことであろうか。
小学校で学ぶ学習内容をしっかり完璧に理解できていたら合格できる
私立中学受験のような詰め込み式の受験勉強をしなくても合格できる
入学後に燃え尽き症候群にならず、活き活きとした6年間を過ごせる
入学するためにガリガリ勉強した訳ではないのに大学進学実績が良好
入口時点の偏差値は高くはなくても出口時点の偏差値はすこぶる良好
そうした、公立中高一貫校の鏡のような学校の一つが、楠隼である。
知名度は高くなく、規模は大きくなく、そのため、だれもが目指すわけではないが、名門進学校や、伝統進学校や、難関進学校に負けない実力がある。
この、公立中高一貫校としての魅力に溢れる楠隼だが、大手模擬試験の偏差値表には、それほど高く表示されてはいない。
しかも、ここ数年も、高くはない偏差値のままで、相変わらず表示され続けている。
ところが、ここ数年は、大手模擬試験の偏差値表を鵜呑みしていては、痛い目にあうかもしれないと、感じるようになりつつある。
データを解析すると、おなじような偏差値が付与されている学校と比較しても、徐々に実際の難易度が上昇してきているからである。
特に注目すべきは、上位層の実力が高いことである。
上位層だけを比べると、相対的に難易度が低い都立中よりも、合格者のレベルが高くなりつつある。
公立中高一貫校は、定員通りにしか合格者を出さないので、今はまだかなりゆる目なボーダーラインが、今後は徐々に切り上がっていく可能性がある。
全国の公立中高一貫校は、私立中高一貫校と比べて、相対的に合格者の偏差値分布が広かった。
これは、公立中高一貫校としての魅力に溢れる楠隼においても言えることであった。
ただし、誤解のないように付言すれば、偏差値が高い受検生の合格率が高く、偏差値が低い受検生の合格率は低いことには、変わりがない。偏差値が低くなればなるほど、合格率は極端に低くなって行く。
これは、模試慣れはしていないが実力は高いという受検生が、この低偏差値による合格者の存在を生んでいる可能性があり、私立中などと同じように捉えて、低偏差値でも合格する受検生がいるということを、都合よく解釈しすぎないように注意すべきである。
私立中高一貫校では合格者の偏差値分布が狭い範囲に集中する傾向が強いのに対し、公立中高一貫校では合格者の偏差値分布が相対的にやや広い範囲に分布する傾向にある要因の一つが、実力が高いのに模試に慣れていない受検生の存在があるということだ。
もう一つの理由として、適性検査型の模擬試験が、受検生の実力を正確に反映できていないこともある。これは、記述式問題の場合、解答作成に時間がかかるため、試験時間から逆算して多くの問題を出題できないことにある。問題数が少ないと、成績順位や偏差値がばらつきやすい。
よって、公立中高一貫校の合格可能性を計測するためには、意識して適性検査型模擬試験の受検回数を増やす、複数の適性検査型模擬試験を並行して受検することが大切となる。
加えて、適切な難易度の学力試験型模擬試験も定期的に受検すると、より精度が上がる。
適性検査型と学力試験型の模擬試験で、ともに安定して合格圏偏差値を獲得できる受検生の合格率が、格段に高い傾向にある。
これは、公立中高一貫校の合格には、高い受験学力と、高い適性検査対応力が、ともに必要であるからだ。
どちらかが欠けても合格可能性は大きく下がる。どちらも欠けている場合は合格の可能性はない。
楠隼の本当の合格ボーダーが掴みにくいのは、定員が小さいことと、模擬試験受験者のサンプル数が少ないことに理由がある。
当塾からの合格者は、最終的に、かなり余裕をもって本番に臨めてきた。実際の合格ボーダーはもう少し低かっただろうと考えている。もっと多くのサンプルが入手できれば、さらに予測精度は上がるはずだ。
令和2年度の合格者は、最終的な外部模試の偏差値が68を超えていた。
令和3年度の合格者は、最終的な外部模試の偏差値が69を超えていた。
令和4年度の合格者は、最終的な外部模試の偏差値が67を超えていた。
もちろん、塾内合格者の全員が、入塾当初から高い偏差値だった訳ではない。
ある塾生は、入塾から約1年半で、偏差値を30ポイント以上も改善させて合格している。
ここまでやらなくても、合格できていた可能性は高い。
しかし、今後は、そうは行かないかもしれない。
上位層が厚くなれば、必然的に、実質的な合格ボーダーが切り上がっていくことになる。
まあ、都立の中高一貫校も、この間に、おなじように、合格ボーダーが切り上がってきたから、都立中高一貫校と楠隼の相対的な難易度の立ち位置は、この間も大きくは変わってはいない。
ただ絶対的な難易度には、徐々に上昇圧力がかかっていると感じている。
都立中高一貫校が、ここ数年、受検倍率低下と「逆相関」する形で合格難易度を急激に上げ、その後追いで模試の偏差値表が上昇してきた経緯があることから、楠隼の受験倍率の低さや難易度表示の低さを、甘く見ない方がよい。
これは、難易度や立地などが似たような、ある公立中高一貫校の入試データの比較から読み取れたことだ。
ただ、楠隼の場合、極端に受検倍率が低くなる年があるので、良い意味での波乱は期待できなくはない。
楠隼の魅力を適切に理解できる受検生親子には、楠隼の併願をお勧めする。
都立中高一貫校から合格をいただきながら、それを辞退して楠隼に入学することを選択する親子がいるくらいに、楠隼は魅力あふれる公立中高一貫校であることを、知っておいて損はない。
多くの人が感じる公立中高一貫校の魅力を、まさに実現しているのが、楠隼なのである。