[2022年10月8日]
新たな「勝利の方程式」の編では、大学受験まで見据えて語ったため、まさに都立中などの公立中高一貫校の「新・勝利の方程式」の中身まで詳しく書けなかったので、今回は本編として、「新しい勝利の方程式」の中身について書いておく。
随分前から、都立中に合格したければ、適性検査対策ばかりしていてはダメで、学力をしっかり高めなければならないと書いてきた。
ところが、これを別の意味で解釈されてしまったように感じている。
具体的には、私立型の受験対策をし続ければ、都立中に合格できるという誤解である。
これは、そのように誤解されないように、機会がある限り、そうではないことは説明してきたつもりだが、残念ながrs大きく誤解されてしまったようである。
麻布に合格して、小石川に不合格になる。
吉祥女子に合科して、都立武蔵に不合格になる。
駒場東邦に合格して、桜修館に不合格になる。
これは以前から確認されてきたことで、過去の日記でも何度も紹介してきたことだ。
更新前の「勝利の方程式」としてお伝えしたかったのは、麻布の合格圏に入れる実力があり、適性検査対策を十分な時間をかけてしっかり準備をし、小石川対策にも専念できたなら、小石川合格の可能性はあるが、私立中対策にばかり時間を割き、麻布合格を追い続け、小石川対策に専念できなければ、上述のように小石川には残念になる可能性が高いことを伝えたかったのである。
ただ、小石川をふくめて都立中を目指しながら、一発勝負となる入試で残念になった場合に、地元公立中学に進むのは本意ではない受検生も少なくないだろうから、相応の難易度の私立中を併願しておいた方が、幸福度や満足度が高くなるだろうとも伝えてきた。
都立中が第一志望の場合に、併願する私立中を、同難易度から選ぶと、共倒れのリスクが格段に高くなる。
都立中が第一志望で、併願する私立中が第二志望であるなら、併願する私立中は、適切に難易度を下げて選択する必要がある。
具体的には、麻布に合格できるような実力がありながら小石川に挑戦したい場合は、小石川対策に十分な期間と時間を割かなければならなくなるから、併願する第二志望の私立中に麻布をもってくるのは大いに危険なので、新御三家未満の私立中が安全である。そうでなければ、共に不合格になる可能性が高くなる。
同じく、桜蔭や女子学院に合格できる実力がありながら、小石川を第一志望とするのなら、併願する第二志望の私立中は桜蔭や女子学院や豊島岡などをもってきてはいけない。
いやいや、私立御三家や私立最難関が第一志望で、都立中が第二志望だから、私立御三家や私立最難関の受験は譲れないという親子もいよう。
その場合は、併願する都立中に小石川を選んではいけない。都立武蔵や桜修館や都立両国も危険である。
御三家の確実な合格を目指し、都立中を「押え校」にしたいなら、中堅以下の都立中にすべきである。
現在の実力を客観的に評価すると、都立中も挑戦校で難関私立中も挑戦校という併願受検生も、いなくはないであろう。
この場合は、どちらかを最適校にして、もう一方に安全校を持ってくるのがよい。
もし、どちらかを挑戦校、もう一方を最適校にした場合、私立同どうしの併願とは違い、どちらも合格が取れない可能性が高くなる。
それは、都立中と私立中では、仕上げ方が根本的に違うことによる。都立中も私立中も共に万全に仕上げることは難しい。挑戦校に挑戦するために力を集中すればするほど、最適校と考えていた学校にも届かなくなってしまうリスクが高まるからだ。
具体的な「お勧め併願パターン」はあるが、塾生限りとさせていただく。
ここまでが、これまでの「勝利の方程式」であった。新しい「勝利の方程式」では、この併願パターンを、さらに慎重に組んでいただくようにお勧めする。
その理由は、一つに都立中がさらに実質難易度を上げていることである。これには複数根拠があって、適性検査問題自体が難しくなり、相当な学力があっても適切な対策をしなければ解けなくなっていることと、都立中の進学実績が私立難関校に迫る勢いが続いているために、受検生の質が年々上昇してきていることがある。
二つに、ここ数年の私立中学受験の異常な加熱で、私立中も合格が難しくなっていることである。
下手な併願戦略を組めば、全落ちのリスクが高くなってしまう。
「新しい勝利の方程式」でのもう一つの提案は、原点回帰である。
もし、都立中が第一志望として私立中が第二志望として中学受験を目指しながらも、実は都立中にしか行きたくなく、私立中進学は希望しない場合、最初から都立中だけの対策に絞り、残念なら地元公立中へ進み、高校受験で起死回生を狙うという、地方ではオーソドックスな戦略への回帰である。
ここで重要なのは、高校受験は都立高校も私立高校も、「内申」で受験できる高校がほぼ決まってしまうから、この「内申」で高い点が取れるように、小学生時代からしっかり対策をすることだ。
特に女子は、中学になってから急に「内申点」が大幅に向上することは稀なので、小学生時代から「報告書点」で高得点を目指しておくことが必須になる。ただし、都立高校入試では報告書点が合否の半分より多くを占める子とはなく、一般選抜では30%だから、当日の試験問題でも合格ラインを超える必要はある。内申にあぐらをかいて試験を甘く見ると、都立高校入試でも失敗することになる。
男子は「報告書点」の低い理由が、精神的な成長の遅さにあるのなら挽回の余地は残るが、学力不足や学習姿勢に問題があるのなら、中学入学後も根本的な改善は見込みにくいので、学力面をふくめ、あらゆる角度から「報告書点」の改善に全力を上げておく必要がある。
適性検査対策よりも、まずは基礎学力向上であり、報告書点の向上である。
これは、都立中の合格可能性を上げることにも資するので、手を抜かずに取り組むべきである。
これができていれば、不本意に高校受験に廻ることになっても、良好なポジションからスタートできる。
これができないまま地元公立中に進み、高校受験で都立高校進学校や難関私立高校に挑戦しても、またもや残念な結果になる可能性が高い。
都立高校受験では過度な挑戦はできない。それどころか、実力相応の都立高校を受験しても残念な結果になる可能性がかなりある。この点については、地方の公立高校受験しか経験がない保護者は、適切で十分な情報収集をお勧めする。保護者の過去の成功体験が災いしかねないからだ。
心配しなくてよい。
大学受験が大きく変わり、さらに変わろうとしていて、大学受験でも「報告書点」や「内申点」に相当する「評定平均」が勝負を分けるようになった。
「報告書点」や「内申点」の向上を目指す、継続的で辛抱強い取り組みは、大学受験でも評価される。
むしろ、学力さえ高ければ勝者になれるという時代は終わったことを早く知り、適切に対応することが肝要である。
「新しい勝利の方程式」
説明はこれくらいにしておこう。
実際には、日々の指導の中で、実践していくしかないことだから。