[2022年10月11日]
今年度入試もそろそろ実質的に終る。
これから最後の追い込みをかけようとしているのに、何を早々に言うのかと思われるかもしれない。
みんなが最後の追い込みをかけることを前提に、今年度もそろそろ終わりだと言っているのである。
10月になれば、もう大逆転はないし、逆転もほぼ起こらない。
ただし、合格できそうであった人が、最後の追い込みが甘くて残念になることはある。
しかし、合格できそうな人で、最後の追い込みが甘くなる人は、ごく少数である。
大手塾などは「ここから大逆転合格を目指そう」などと煽るかもしれないが、それは大手塾の本部が、最後の売上積み増しに向けて、受験生や保護者を煽るようにと業務命令をかけているだけでしかなく、現場のベテラン指導者は本音ではそんなことは起こらないと知りつつも、しかたなく受験生や保護者を煽っているだけなのだ。
私立中受験では、小6の10月までに、どこに受かるかが、ほぼ決まる。
正確に言えば、どの難易度ゾーンの私立学校に合格できるかが、小6の10月で決まってしまうということである。
では、小4なら、どの難易度ゾーンの学校にでも合格できる可能性があるかと言えば、そのようなことはない。
大手塾の場合、成績別にクラス編成されることが多いと思うが、最下層のクラスから対策を始めた受験生が、最終的に最上位のクラスで受験を迎えることは、まずない。
つまり、スタートしてしばらくした時点で、早くも、ある程度は狙える難易度ゾーンがわかってしまうのである。
これに対して、公立中高一貫校受検の場合、スタートしてしばらくどころか、小6の夏を過ぎた時点でも、合格できそうな人と、合格できそうにない人の境界線が、私立中受検ほどには明確ではない。
誤解のないように補足するが、箸にも棒にも掛からぬ層と、箸か棒かに掛かりそうな境界線は、公立中高一貫校受検の方が明確である。
これは、例えば都立の中高一貫校の場合、難易度的なちらばりが、私立中よりも遥かに狭いことに起因している。
公立中高一貫校に向いていそうな受検生であっても、かなりの程度の実力がなければ、どこかの公立中高一貫校に合格できる可能性は、まずない。
その意味で、公立中高一貫校の受検は、だれもが気楽に始めることには向いていない。
これは、大手塾の宣伝文句や、受検生と保護者の理解とは、真っ向から対立する。
教育行政や公立中高一貫校の広報も、一部のエリート選抜を行っているかのようなことは表立っては明言できないから、ここに都市伝説が成立する環境ができあがってしまう。
公立中高一貫校の受検を検討する受検生や保護者は、この点をしっかり見極める必要がある。
対して私立中の場合は、最終的に、幅広い難易度から受験校を選べるので、小6の秋頃の実力を謙虚に受け止めることさえできれば、どこかの私立中からは合格がもらえる。このため、スタート時点の見極めが、公立中高一貫校受検よりいくらか緩やかでも、大丈夫ではある。
高校受験で考えてみれば分かりやすいであろう。だれもが、都立日比谷や都立西や都立国立を最終的に目指せる訳ではないことくらいは分かるであろう。譲って都立新宿や都立青山を最終的に目指せる人もほぼ限られることくらいは分かるであろう。
もちろん、それ以下の都立高校であれば、スタート時点で箸にも棒にも掛からぬと思われていた人でも、合格できる可能性はある。
しかし、都立の中高一貫校の難易度は、今や都立高校進学校のボトムラインよりも高くなってしまったので、将来に都立三田あたり以上を狙えそうな層以外は、どうあがいても、都立の中高一貫校には残念になる可能性が高い。
もちろん、都立高校でも進学校でなければ、十分に逆転合格の可能性がある。
これは私立中受験とおなじく、幅広い難易度から選べるからだ。
ただし、一点、非常に重要な違いがある。
私立中受験では「内申点」は気にしなくてよいが、高校受験では都立高校に限らず「内申点」が合格者選抜において点数化されることである。
「内申点」が目標校から乖離すれば、私立高校の推薦(単願)や併願優遇は出願そのものができなくなるし、都立高校の推薦入試はもちろん、一般入試でも逆転が難しくなる。
私立中受検では、小6の秋には合格できそうな難易度ゾーンが決まってしまうが、その他の入試でも秋にはほぼ合格が決まってしまうことに大きな違いはないのである。
今年も10月の半ばを過ぎた。
今年度入試は、まもなく、実質的に終る。
1年が過ぎ去るのは早い。
月日が過ぎ去るのは早い。
時を大切にすべきだろう。