[2022年10月16日]
適性作文は国語ではないと、先日の日記で書いた。
適性作文が国語ではない、もう一つの根拠が、独自性が求められることにある。
国語では、課題分筆者の考えたことや意見を聞かれることはあっても、解答者の考えや意見が聞かれることは原則ない。
むしろ、国語では、解答者個人の考えや意見に従って解答してはいけない。
反対に、適性作文では「あなたの考え」が問われる。
あなたの考えとは、世間一般の考えではない。
解答者の考えである。
解答者の考えであり、世間一般の考えではないので、そこに独自性があるかどうかが問われる。
解答者の考えであっても、誰もが答えるような「陳腐」な解答では、合格作文にはならない。
独自性とは何か。
独自性が高い作文とはどんな作文か。
それは、独自性がない作文とは何か、を考えれば分かるはずだ。
ネット検索ですぐに出てくるような考えや意見
動物的な反射神経で思いつくような考えや意見
一言で言えば、コピペ(コピー・アンド・ペイスト)でしかないような考えや意見のことである。
ワープロやパソコンが普及した直後から、大学生がレポートや論文を作成する際にコピペが横行して、大問題になった。
採点する教官がまだ不慣れでコピペを見破れずに、コピペ学生に単位を与えてしまい社会問題にさえなった。
適性作文に独自性が求められるのは、独自性のある適性作文を書けるか書けないかを検査すれば、高度な学習能力があるかないかを見分けられるからである。
つまり、難関進学校で学ぶ資質があるかが分かる。
今年、適性検査作文が都立共通問題校である都立中と、適性検査作文が独自作成問題校である都立中の、それぞれの国語教員とお話しする機会があった。
そこで、非常に有益なヒントを得た。
適性作文では、しばしば経験や体験をふまえて書くことが求められるが、採点者はここで何を見ているかという点である。
警戒しながらも丁寧に対応していただいた都立中の先生方にご迷惑がかからないように、次のように表現しておく。
「〇〇力」
適性作文では「〇〇力」が試されているのである。
この「〇〇」の中には、
思考や分析や表現や論理など、適性検査でよく使われる言葉は入らない。
もちろん、独自も入らない。
経験や体験についての記述を通して、意見や考えを通して、「〇〇力」を検査しているのである。
「〇〇力」があるかないかを計れば、都立中に入学するにふさわしいかどうかの適性が、分かるのである。
「〇〇力」を高めるためには、適性作文で独自性の高い内容や文章を書けるように、研鑽を積む必要がある。
国語の勉強ばかりしていても、独自性は磨かれないし、「〇〇力」は高められない。
不適切な対策をし続けても、合格力は高められないのである。
磨くべき力とは何かを正しく知ってから、対策を始めるべきだ。