[2022年10月27日]
シリーズ第二弾をお届けする。
このブログ、つまりスタッフ日記を読まれている方の多くは、都立中など公立中高一貫校を第一志望にされている方が多いと思われるので、今回は、そうした受検生を想定した併願戦略について書いておこうと思う。
都立中受検が広く一般に広まり、受検生が増えた際に、入学者募集に苦心していた学校を中心に、私立中が次々に適性検査入試が導入し、おこぼれ頂戴戦略に乗り出したことは、すでに広く知られていることだ。
事前に練習受検ができるなど都立中受検生にとってもメリットがあり、WINーWINの関係が定着するかとも思われたが、徐々に取捨選択が進み、今や、すでに導入していた適性検査型入試から撤退する私立中が次々に出てきている。
都立中受検生にとっても、適性検査型私立中であれば、どこでも併願する価値があるとは言えないことが知れ渡り、併願される適性検査型私立中は、ごく少ない私立中に集中するようになりつつある。
また、適性検査型入試を行う私立中の全てが、都立中に似たような教育をしているとは限らないことも、この取捨選択に拍車をかけている。
この点を踏まえ、併願する適性検査入試を行う私立中は、次の2つの視点で選ぶのがよいかと思う。
1.練習校としてふさわしい私立中
2.抑え校としてふさわしい私立中
1の練習校として私立中だが、練習校として受検する場合、入試問題が都立中とほぼ同じような内容の学校が最適となる。この場合、難易度は最優先事項にはならない。難易度が適度に易しい私立中の方がむしろふさわしい。ほぼ確実に合格がもらえて、入試問題が都立中にそっくりな私立中を最低1校、事前に受検しておきたい。
早めの練習には埼玉の私立中が最有力となる。本番の3週間から2週間前に受検し結果がわかるので、余裕をもって調整ができるからだ。
特にこだわりがなければ、浦和実業がお勧めである。
2月1日や2日などに練習校受検をしてもよいが、日程がもったいないので、できれば抑え校にもなる私立中を選べれば、さらによい。
特にこだわりがなければ、宝仙理数インターがお勧めである。
もう一つ、事前の練習というか、腕試しに最適な学校がある。何度もご紹介してきた、全国募集の公立中高一貫校「楠隼」である。難易度的には練習校というよりも併願校として位置付けた方が適切だが、本格的な練習校としても最適な学校になる。
楠隼に不合格になって都立中に合格した例は、指導した受検生にはは一人もいないので、都立中に合格できる実力があれば、楠隼に不合格になる可能性は高くはないはずだ。本気の練習校としては、イチオシの学校になる。
入学してもよい併願校としても十分以上に魅力を感じてもらえるはずだから、併願しない手はない。都立中とおなじで合格したからと言って必ず入学しなければならない訳ではなく、名門私立中のように事前に高額な入学金を納めて都立中の合格発表を待つ必要もない。
次に、
2つ目の、抑え校としての適性検査型私立中だが、練習校としても使えて、かつ都立中が残念な場合は入学しても良いと思える私立中が該当する。もちろん、最終結果が出そろった後に最終判断をすればよいので、合格したら必ず入学しなければならないなどと強迫観念にとらわれて、併願を回避する必要はない。
ここでのイチオシも、宝仙理数インターである。特に富士と大泉を受験予定なら、ここは必ず併願しておくことをお勧めする。他の都立中を受検する場合でも、宝仙理数インターを併願しておくことをお勧めする。都立中をお気に入りの受検生親子が、都立中に残念になった場合に入学先として選んでも、高い確率で高い満足度を得られるだろうと思う。
この他にも、受検する都立中にそっくりな入試問題を出し、魅力的な教育を提供してくれる私立中がいくつかあるので、早い段階から学校説明会などに参加して狙いを定めておくのがよい。
練習校に書いたので、練習校にふさわしいと認識されてしまったかもしれないが、楠隼は第一志望にしても十分に魅力ある学校なので、併願校にふさわしい学校としてもあげておく。
実は、所在地を除く、都道府県別の在校生最大勢力は東京勢である。地方にあるから淋しい思いをさせるのではないかと心配する必要はない。冷暖房完備で完全個室の寮部屋、集中して勉強できる寮学習室、友情を深められる快適なラウンジ、東京では実現できない広大な運動場、自然豊かな立地環境、充実した体験学習行事の数々など、学費が無料でこの教育環境というのは、全国広しと言えども、楠隼以外に実現できている学校はほぼない。
なにせ、設立計画時の目標が、公立版のラ・サール中高だから。
6年間完全個室の寮部屋というのは、鹿児島ラ・サールにも、函館ラ・サールにも、ない。
血税を他の都道府県の親子のために注ぎ込むのはけしからんと、納税者から苦情が届くほどに魅力的だ。男子が入学できて女子が入学できないのは不公平だという声さえ強まっている。
子育ての最終目標が、子に教育を与える最終目標が、「子の自立」であるとするならば、楠隼は最適な環境だと言わざるを得ない。
まあ、それぞれに好みや事情なども違うだろうから、最終的な判断は、個々の受検生親子が、自己責任で選べばよい。
くれぐれも、都立中の一本受けはお勧めしない。
適度な練習受検をしても、本番で過度に緊張してしまう子はいる。模試ではなく合否が発表される本番入試の緊張感は別格である。その緊張感の中で、時間配分などの実践経験を積み、合格の手ごたえをかみしめ、本番に臨めるメリットは大きい。
かつ、
都立中は一発勝負だから、合格の喜びは格別だが、不合格の悲しみも大きく深くなりがちだ。まだ幼さの残る受検生の試練としては、保護者が想像するよりも大きくなるリスクがある。私立中の併願合格は、それを大きく緩和してくれる。緩和してくれるどころか、喜びにもなる。
次回は、都立中が第一志望で、適性検査型で対策してきた受検生が、学力試験型私立中を併願する際の、お勧め戦略をご紹介したい。