[2022年11月10日]
都立中の過去問演習戦略について書いておこう。
よくある根本的な間違いは、学力試験型入試の過去問演習と、おなじような進め方をしてしまうことである。
学力試験型では原則として解答は1つに決まる。だから、原則として答えが合っていれば〇でよい。
途中式を書く形式の出題をする学校もあるが、こらは、たまたま答えが合っている場合に×にするためと、途中まで解けていたら△、つまり部分点を与えるためであり、根本的に違いはない。
しかし、
記述型答案の正解例は、必ずしも一つの答案例に収まるとは限らない。
プロセスや表現は多様でも、内容が正しければ〇になり、完答できていなくても、途中まで正しく解けていれば、その程度によって△がもらえる。
この記述型答案の〇か△か×か、どの程度△かを、自分で適切に判断できる受検生は少ないし、適切に判断できる保護者も少ない。
しかも、
過去問題集の解答例が間違っている場合も多々あるので、気をつけなければならない。
ここまでがテクニカルな違いであるが、適性検査問題の過去問攻略においては、さらに短答式と根本的な違いがある。
適性検査の場合、答えが最終的に合っているかどうかとともに、答えに至るプロセスが適切で正しいかまでが、採点される。
よくある形式として、まず正しい選択肢を選び、その次に理由を説明する形式の問題がある。その逆もあり、理由を説明して、その後に正しい選択肢を解答する問題もある。
この場合、正しい選択肢を選べていても、理由の説明が間違っていたら、選択肢の配点ごと、失点となるのが一般的である。つまり、たまたま答えが合っていた場合は得点とはならないということである。
少し話しが回り道したが、記述式答案の過去問演習をする場合、一度解いて採点するのはよいが、受検生本人が採点してはけっしていけないということである。
なぜかというと、適性検査では、正解に至るプロセスを検査されるので、正解を見てしまうと、正解へのプロセスまでを知ることができてしまうからである。
正解できていたならまだよいが、正解へのプロセスを知ってしまった問題を解き直すことは意味がない。
意味がないとは、過去問演習をしても、合格力が上がらないことを指す。
正解へのプロセスを知った上で解き直すのは、過去問演習ではなく、その前の総仕上げ演習までに行っておくべき対策である。過去問でそれをやっても、適性検査においては過去問演習の効果が得られない。
志望校の過去問をすべて解けるようになったのに、志望校に不合格になったということが起きる。
適性検査における過去問演習は、解答解説を事前には一切見ないで、すべて自力で正解できるようになるまで、周到に訓練すべきなのである。
ここで重要なカギを握るのが、総仕上げ教材の選択と、総仕上げ教材の運用方法である。この段階で、自力で解ける力を完成させておかなければ、過去問演習は実りがないまま終わってしまう。
つまり、膨大な時間をムダにする。
そして、合格を逃す危険を高める。
適性検査型入試の過去問演習では、学力試験型入試の過去問演習と、おなじような進め方をしては、いけない。
逆に、正しい過去問演習を行えば、劇的に合格力を上げることができる。
けっして、間違った過去問演習をしてはいけない。
正しい過去問演習を十分に行えたか、間違った過去問演習しか行えなかったかで、悲しいかな、最後で最期の、運命が分かれる。
まさに、この時期、最終的な、合格者と不合格者が、決まろうとしているのである。
誤解のないよう申し添えるが、過去問演習の仕方しだいで、誰であっても逆転できるなどと、言っているのではない。
この時期になる前に、多くの受検生は、残念ながら、すでに不合格が確定している。
この時期になって、まだわずかに残る、合格か不合格かが確定していない受検生が、この時期の過去問演習の取り組み方によって、最終的に仕分けられてしまうことになるのだ。