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三田学院

[2022年11月11日]

【都立中】小5までに勝利を決めろ

小4時点で早くもおよその勝負が決まっていることは、ずいぶん前に説明した。

都立中高一貫校は正真正銘の進学校だから、小4時点で進学校に進める素養がない子が臨んでも、ほぼ合格には絡めない。

これは、私立中高一貫校の進学校でも、おなじことが言える。

しかも、知識の暗記や解法暗記や解法パターン暗記などでは歯が立たない都立中入試では、私立中とは違って詰め込みが通用しないので、素養のなさをごまかすことができない。

合否は、進学校に進める素養のある子どうしでの闘いとなるが、小5が終わる頃には、ほぼ勝負が決まってしまう。

なぜかというと、小6受検学年になれば、ほとんどの受検生は本気を出して取り組み始めるので、どの受験生も「成長曲線」がほぼ同じになってしまうからだ。つまり、全力で取り組んでも、ライバルたちも全力で取り組むから、結局のところ、小5のポジションを維持するのが精一杯になるのだ。

むしろ、根拠のない楽観から、小6でものんびりしていると、崖を転げ落ちるがごとく、成績が急降下しかねない。

小6で成績が下がったと騒ぎ出す親子の多くは、受検学年の取り組みの厳しさを理解できていない。

実は、成績が頭打ちになったりや低下したりする現象は、小5の後期から頻発するようになる。小5の後期から学習内容の難易度が急速に上昇するからだ。

資質的に余裕がなくなった受検生や、高度化する内容できなくなった受検生から順に、頭打や下落が鮮明になって行く。

受験生の方がより鮮明だが、受検生でも大差はない。

つまり、入試本番ではなく、準備の段階で、実質的な選抜が進行していくのである。

小5でほぼ勝負が決まってしまうのだから、小5までにしておくべきことが何かは、明白である。

指導ノウハウにかかわるので、ここでは詳しくは書かない。

代わりに大学受験ではどうかを書いておく。本質的には中学受検も同じだからである。

そろそろ、予備校などから、高校2年生向けに、「共通テスト同日受験の体験会」といった募集広告を受け取る頃だ。

これは高校3年生が受験する「共通テスト」を、前年の過去問などを使って、予備校や塾の教室で、おなじ時間割りで疑似受験するものである。

実際の1年前に受験するのだから、ほとんどの受験生は、さんざんな成績になるはずだと思っているようなら、認識がかなり甘い。

1年後に80%程度の得点率になる高校2年生の場合なら、概ね70%〜75%が取れる。

逆の表現をすれば、本番で80%の得点率を目指すなら、1年前の時点で、少なくとも70%取れている必要がある、ということだ。

共通テスト80%の得点率というのは、旧帝国大学の、平易な大学の、平易な学部のボーダーである。

1年前に70%取れないようだと、旧帝国大学のどこかに合格できる可能性は著しく下がる。

もちろん、共通テストだけで合否が決まるわけではないことは、申し添えておく。

しかし、このことが、本質をついている。

難関国公立大学への合格を目指す受験生は、幼いころから勉学に励んできたような子たちばかりである。

ハイレベルな闘いを制するには、先手先手で攻めて、良好なポジションを可能な限り早く手に入れて、その後はゴールを切るまで、逃げて逃げて逃げ切るのが王道である。

一定の到達率に達したものはすべて合格できる資格試験や検定試験などとは違い、同じ学年生どうしが定員席を奪い合う入学試験では、先行逃切が極端に有利になる。逆に、遅行追上は極端に不利になる。

負け戦を闘ってはいけない。

勝ち戦を闘うべきだ。

勝ち戦にするか、負け戦にするかは、開戦前の準備でほぼ100%決まる。

開戦前の準備で遅れていては、勝ち目はない。

負け戦は、闘わずに、逃げるのが賢明である。

ただし、闘わずに逃げても、失うものは多い。

関ヶ原の合戦における、西軍島津の敵中突破が、教訓となる。

闘わずに逃げるにしても、相当な気迫が必要である。そうでなければ、戦場からは逃げきれないし、後の再起を夢見ても、その前に倒れてしまうリスクがあるし、再起不能になるくらいの痛手を負うかもしれないのだから。

いずれにしても、覚悟が必要になる。

覚悟がないなら、最初から、闘いの場には、近づかない方がよい。