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三田学院

[2022年11月15日]

【都立中】間違いだらけの併願戦略3

間違いだらけの併願戦略の、シリーズ第三弾をお届けする。

シリーズ第二弾の筆茉で「都立中が第一志望で、適性検査型で対策してきた受検生が、学力試験型私立中を併願する際のお勧め戦略」をご紹介すると告知した。

しかし、このテーマは、過去に何度も書いてきたから、最初から最後まで説明すれば、過去の日記の繰り返しになってしまうので、今回はシリーズのまとめとして書いておく。

必要な方は、過去の日記をご参照いただきたい。

さて、都立中が第一志望なら、都立中に最適な戦略で対策を進めることが王道であることに、異論はないであろう。

念のため先に申し添えるが、多くが不合格となる都立中専門塾などで行われているユルユルの適性検査対策を指しているのではない。

そう書くと、都立中受検専門塾ではなく私立中受験専門塾で対策するのがよいと勘違いしてしまう受検生親子がいるが、それはもっと違う。合格率は変わらないか、下がってしまうリスクがある。私立中受験専門塾から都立中に不合格になった親子からの相談を数多く受けるが、そもそも戦略が間違っていたのだから仕方がない。

さらに、小5あたりまで私立中専門塾で、小5後半あたりから都立中専門塾に移籍して対策するという、不思議な戦略も流行っているようだが、これも成功する可能性は上がらないだろう。よほど器用な子でない限り、私立中専門塾の知識優先や解法優先の指導が染みついてしまったら、柔らかい思考力で勝負する適性検査には対応できなくなってしまう。

少し前のスタッフ日記で、私立中受験の専門アドバイザーかつ指導者が、どんなに指導しても都立中には合格させられなかったと語っていることを紹介した。

私立中受験対策で仕込まれた受検生が、ある程度仕上がった状態で、急に大きく路線変更をして、残り1年程度で適性検査型に対応できるように励みだしても、なかなか上手くはいかない。

バスケットボールの試合に勝つために、終始バレボールの練習ばかりをする人はいないはずだ。

逆に、

バレーボールの試合に勝つために、終始バスケットボールの練習ばかりをする人もいないはずだ。

シリーズにおける今回のテーマは、バレーボールの試合で確実に勝利したいが、できることなら、バスケットボールでも勝利したい場合の対処法と重なる。

都立中がバレーボールで、私立中がバスケットボールである。

これは、私立中が第一志望で、都立中が第二志望の場合は、逆になる。

基礎的な運動能力の向上に関しては、バレーボールもバスケットボールも共通だから、まずは、ここをしっかり取り組むことを怠ってはならない。

それは私立中受験専門大手塾で行っているような私立中受験型で取り組むことを意味しない。さらに、適性検査型受検専門塾で行っているユルユルの教科型基礎指導のことも意味しない。

バレーボールで勝利したいなら、バレーボール特有の運動能力を優先して、勝利に必要な水準まで伸ばす必要がある。しかしそれは、バスケットボールでは必要ではない運動能力かもしれない。

かつ、バレーボールでの勝利が優先になるのだから、バレーボールだけの勝利を目指す場合と同レベルの練習や準備が、少なくとも必須になる。

つまり、全力を持ってバレーボールの練習に励み、余った力でバスケットボールの練習をすることになる。

よって、バスケットボールの準備が不十分になるかもしれないことは、事前に十分に承知しておかなければならない。

バレーボールで優勝することを目標に準備をし、余力があればバスケットボールでの勝利を目指すことになるから、バスケットボールでの勝利や戦績を過度に追いかけてはいけない。

バスケットボールでの勝利を欲張れば欲張るほど、バレーボールでの勝利が怪しくなり、取り組み方としては、本末転倒になってしまうからだ。

例えば、全力で取り組んだのであれば私立御三家や私立新御三家や私立共学最難関に合格できそうな人が都立中を第一志望とした場合、言い換えれば、都立中の合格を最優先とした場合は、全力を持って都立中の対策をし、余った力で私立中の対策をするのが、最適解となる。

この場合に、欲張って、私立御三家や私立新御三家や私立共学最難関の合格も追いかけ過ぎることは、お勧めしない。都立中の対策が疎かになり、これぞ本末転倒になるからだ。

都立中への確実な合格を狙う場合、早い段階で都立中合格を確実にし、本番までその力を維持しなければならない。

その際、私立型の対策に回せる時間と労力は、非常に少なくなるか、ほとんどなくなるので、都立中の対策にも寄与する私立型の対策を多用して、私立中の合格を目指すしかない。

必然的に、併願する私立中は、最適校か抑え校か安全校となる。

もしくは、算数単科入試や、算数と国語の2科入試が有力候補となる。

4科入試しか行っていない私立中を併願したい場合は、さらに安全余裕度を大きく持つ必要がある。

学力試験型模擬試験で、持ち平均偏差値よりも低い私立中の中から、併願する私立中を選ぶのが、安全である。

くれぐれも、私立中型の受験生のように、私立挑戦校1、私立挑戦校2、私立最適校1、私立最適校2、私立安全校1、私立安全校1などで組むような、併願戦略を取ってはいけない。

都立中最適校または都立中安全校、私立最適校1、私立最適校2、私立安全校1、私立安全校2、私立練習校1、私立練習校2、くらいにしておいた方がよい。

安全確実に都立中への合格を目指すなら、都立中安全校、私立最適校1、私立最適校2、私立安全校1、私立安全校2、私立練習校1、私立練習校2が、お勧めではある。

繰り返すが、少し前のスタッフ日記で、私立中受験の専門アドバイザーかつ指導者が、どんなに指導しても都立中には合格させられなかったと語っていることを紹介した。

この指導者の敗因と、この指導者に指導を受けた受検生の敗因は、私立中受験を優先しながら、都立中合格を目指したからだと思われる。

もちろん、このアドバイザー兼指導者に、都立中への合格指導をする力量がなかった可能性もある。

都立中合格を目指すなら、最後の受験学年では、都立中対策を最優先すべきである。よほどの余裕がない限り、都立中対策を優先して全力を注ぐべきである。

しかも、小5の後半から、徐々に都立中対策の比重をほぼ100%に向けて高めていくのが安全だ。

そして、それでも余った力をもって、魅力的な私立中や、進学してもよい私立中への合格対策をすべきだ。

たとえ、併願私立中の対策に振り向ける時間と労力が不足しても、都立中合格に必要な時間と労力を削ってはいけない。都立中合格を逃すリスクを高めてしまうからだ。

そうならないためには、十分な期間的余裕をもって、早い時期から、対策を開始すべきである。

それを怠りながら、欲張り続けるのは、虫が良すぎる。

怠らずに対策してきた受検生に失礼になるし、怠らずに対策してきた受検生を侮辱することにもなる。

それ以上に、都立中を、なめているし、侮辱している。

都立中受検の対策により、手に入れたいことは何か、手に入れたかったことは何か。

都立中への合格によって、手に入れたいことは何か、手に入れたかったことは何か。

もう一度、胸に手を当てて、深く考えて見るべきだろう。

優秀なバレーボール選手になりたければ、優秀なバレーボール選手になるための努力をすべきだ。

けっして、バレーボール選手になるために、バスケットボールの練習にばかり励んではいけない。

正しい対策と戦略で、合格を目指すべきだ。