[2022年12月2日]
ただ暮らしているだけでは、何も大きな変化は起きていないように、感じるかもしれない。
ところが、ここ数年で、中学受験や、高校受験や、大学受験は、それぞれに、取り巻く環境が激変した。
中学受験では、低学年からの通塾開始が一般的になった。公立中高一貫校では塾なし合格がほぼ望めなくなったどころか、公立中高一貫校対策でも低学年からの通塾が一般的になった。
高校受験では、私立高校の授業料実質無償化で、ごく一部の真剣に受験対策をする層と、実質やっているフリしかしないままで高校進学する層に分かれてしまった。
大学受験では、総合型と推薦型が主たる入学ルートになった。かつての大学受験のイメージはいまや通用しない。昔ながらの学力試験一辺倒の闘いは、国公立大学の多くと、難関私立大学の一部での現象でしか、なくなってしまった。
すでに、大学全入時代を迎えているが、これからは私立大学の廃校や統合が加速することになる。
もうお気づきだろう。
二極化が極端に進んでいるのである。
都立中受検においては、低学年から通塾を開始して合格を目指す層と、最後までほぼ塾なしで合格を目指す層に分かれ、その中間が激減している。最後まで塾なしの合格者は、ある都立中の内部アンケート調査では、入学者160人中の数人(無回答の人数を含むので0人の可能性もある)でしかない。
高校受験は、難関都立や難関国立大附属や難関私立への進学を目指す層と、そうではない高校への進学を目指す層に、二分されるようになった。その比率は全体としては、地域にもよるが、20:80〜10:90くらいである。中学受験で優秀層のほとんどが抜けてしまう都心部などでは、5:95くらいであろう。
港区は、港区内の各公立中学校の高校別合格者数を、公表しているが、平均すれば、中学生100人当たりの進学先は、日比谷などの重点校が1人か2人、青山などの特別推進校が1人か2人、三田などの推進校が1人か2人で、合わせて3人から5人だから、5:95になる。筑波大附属駒場や筑波大附属や学芸大附属なども一人くらい合格するが、日比谷などとの併願合格だろうから、これらを考慮しても結果は変わらないであろう。
この、残る95人が、高校受験では、グダグダになる。
港区の教室近隣のいくつかの公立中学では、わかりやすく100人換算すれば、高校受験偏差値50以上は、せいぜい学年15位か20位くらいまでで、残り80人から85人が、偏差値50以下である。
中学受験で40%以上が抜けてしまうので、高校受験偏差値50以上の人数が偏って少なくなる。
港区の教室近隣のいくつかの公立中学では、100人中の80人から85人が、私立高校に単願推薦か併願優遇で進学する。都立高校に進学するのは、100人中の15人から20人くらいである。
学年6位から20位くらいのグダグダ度が大きい。本人も保護者も、学力上位層だと勘違いしているが、実はそうではないので、自己認識と実力の乖離が大きく、進路選択で迷走し、結果の満足度も低くなりがちだ。
本論に戻る。
大学受験は、全国区の闘いなので、地方を含めるとややこしくなるため、東京に限って論じる。ここが一番見えにくいかもしれないが、ここが最も二極化している。
大学生になるためだけであれば、大学全入なので、なんら努力は必要ない時代になった。
しかし、難関国公立大学や最難関私立大学と難関私立大学の競争は、水面下でより過酷さを極めつつある。
難関国立大学を目指す層は、中高一貫校入学の直後から6年計画で対策をするのが当たり前になった。しかも、それを支援する塾や予備校が静かに興隆を極めている。
実は、御三家や都立中に合格しても、みんなが難関国立大学に合格できるのではない。これは書くと物議をかもしそうなので、ふわっと書くが、難関国立大学に合格するためには、御三家や都立中の学校授業だけでは不十分なのである。まあ、天才であれば、どんな境遇でも難関国立大学に合格できるかもしれないが、それを語っても分析にはならない。
一方で、近年、もっとも受験生を集めているのが、実力では日東駒専や産金甲龍に合格するのがやっとでありながら、早慶やMARCHを夢見る受験生を中心に取込む塾や予備校だ。私大専門とかMARCH専門とか早慶専門の看板を上げているので見つけやすい。チラシやパンフレットに早慶やMARCH合格者の体験談を載せて、日東駒専レベルの受験生を集めるのが常套手段だ。三番手や四番手の都立高校に通う高校生と、自称進学校の私立高校に通う高校生がターゲットになっている。
話しを戻す。
難関私立大学を巡る闘いの主戦場は、総合型と推薦型に移行した。英語外部試験などは想像を絶するハイレベルでの闘いになってきている。その他の能力で競うなら、さらに厳しい闘いを余儀なくされるであろう。ただ普通に中学高校の6年間を過ごした受験生に、ほぼ勝ち目がなくなった。
私立大学の一般型が非常に厳しい。総合型と推薦型に定員を大幅に譲ったので、少子化を上回る勢いで一般型の定員が縮小している。
私立大学のみの受験生の多くは、当初の目標にMARCHを上げがちだが、今やMARACHは保護者世代の早稲田や慶應なみに手強い存在となった。MARCHを目指す受験生の多くは、成成明学獨すら危うく、日東駒専や産近甲龍あたりから青色吐息で合格をもらうのが精一杯になった。そうした大学受験生は、大東亜帝国あたりで滑り止まってくれれば、満足とすべきなのかもしれない。
二極化の時代なので、本気でやるか、本気ではやらないの、いずれかしかいない。中途半端な中間層がほとんどいない。
一般論として、かつては、中小規模の塾や予備校は、中途半端な層がおもな顧客であった。しかし、中途半端な層が激減してしまったので、多くの中小規模の塾は、受難の時代に突入している。
どこかのセグメントで闘うしかないのだが、本気でやりぬく層(だからといって結果が出るとは限らない)は、大手塾どうしでの奪い合いが激しく、奪い合いはさらに激しさを増す勢いだから、ここで闘うのは容易ではない。
一方で、本気ではやらないを貫く層は、これまた、その層を得意とする人力個別指導系の大手塾や、誰でもOKの大衆大手塾などがひしめいていて、ここで闘うのも容易ではない。
ということで、新年度からは、こうした状況をふまえて、戦略を見直さなければならないと考えている。
例えば、本気でやり抜く層をターゲットするなら、都立中合格コースも私国立中合格コースのように小4末で募集を締切るとか、高校受験コースは小6末で募集を締切るとか、大学受験コースは、中高一貫生なら新中1(小6)で、3年制高校生なら新高1(中3)で締切るなどである。
逆に、本気でやらないを貫く層をターゲットとするなら、中学受験生も高校受験生も大学受験生も、「合格コース」とは別のコースで募集をかけるなどが考えられる。超短期決戦になるので、募集基準を特別に設定し、コース内容も別にしなければ、「合格コース」のような成果を上げるのは難しいからだ。従来の中間層はここで対応するしかない。
どちらを選ぶかは、受験生と保護者が決めることなので、お好きにしていただくしかない。
二極化はさらに進みそうな勢いだから、それに対応するしかない。
募集停止期間に入ったので、じっくり考えて、募集停止期間明けに、ご案内したい。
令和5年度以降は、コースごとの募集期限を根本的に変更する(甘くはしない)可能性があるので、事前にご承知おきをお願いしたい。
=お知らせ=
事前にご案内しておりました通り「募集停止期間」に入りました。
この間は体験授業も実施しません。
募集再開は「新年3月下旬」頃を予定しています。
募集停止期間中も「体験授業の受付」を継続します。「体験授業のお申込方法」に沿ってご連絡をください。
例年、募集停止期間明け直後は大変混みあい、体験授業の実施を長期間お待ちただくことになりますので、募集停止期間中のお早目の時期に、事前に体験授業のお申込をされておかれますことをお勧めします。
こちらからの確認メールに返信をいただけない方がいらっしゃいますが、返信がございません場合は、体験授業のお申込は成立いたしません。
こちらからの確認メールが着信拒否や迷惑メールとして扱われていることがございますのでご確認をお願いします。
確認メールのご確認と返信ががございませんまま「募集期限」が過ぎましても、救済措置はございません。
尚、冬期講習の外部募集は行いません。塾生だけで実施します。