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三田学院

[2022年12月15日]

【都立中】面接か小論文か

入学試験と聞くと学力試験などのペーパーテストを連想する人が多いだろうと思う。

しかし、今や事情は様変わりしていて、面接と小論文(適性作文をふくむ)が、入学試験において存在感を増してきている。

ペーパー・テストは、テスト内容にもよるが、知的能力を測るのに適してはいるが、人物像をふくむ受験生の総合的な能力を測るには十分ではない。

そこで見直しが進んでいるというか、導入が本格化しているのが、面接と小論文である。

大学入試では、慶應義塾大学が小論文を長らく必須としてきたことは有名であるし、国公立大学であろうが私立大学であろうが医学部医学科では面接や小論文が課されることがほとんどであることも知られている。

しかし今や、国公立大学の二次試験でも小論文や面接試験を実施する大学や学部(や学類や学域)や学科や専攻が多くなってきている。

例えば、

東京学芸大学の後期日程では、共通テスト+小論文、または、共通テスト+面接(口頭試問)で、合否が決まる。

さらに、横浜市立大学の前期日程では、国際教養学部は、英語+小論文で、合否が決まる。

この横浜市立大学の国際教養学部では、国公立でありながら、前期日程であっても、一次試験(共通テスト)で3教科入試が選べる。つまり、数学や理科を一切受験せずに、合格することが可能なのである。

ただし、小論文がある。

慶應大学の商学部は、英語+社会+小論文で受験が可能だが、実はこの小論文の中で数学が出題される。

小論文だから自然科学分野の能力は必要ないなどと侮ってはいけない。

小論文という名の、総合学力試験と言っても過言ではない。

早稲田大学の政治経済学部は、共通テスト併用になり、共通テストの英語と数学(1A)と国語と選択科目(数学2Bか社会か理科)+独自総合問題で合否が決まる。この独自総合問題が、いわゆる慶應大学における小論文に近い試験となる。そう、総合学力試験である。

この他に、青山学院大学の国際政治経済学部でも、独自総合問題が必須になった。慶應や早稲田の看板学部に倣えである。

この入試形式の方が、以前よりも優秀な学生を取れることを大学は知ってしまったので、大学としても、もう止められない。

小論文という名の正式教科が、小学校や中学校にはもちろん、高校にもないので、大学受験生としては受難の時代に突入したと言えなくもない。

狭義の受験勉強だけでは、総合型(旧AO)や推薦型(公募や自己を含む)でなく一般型であっても、難関大学や有名大学には合格できなくなったのである。

面接が人物像を確認するのに適していることは説明するまでもないが、小論文は幅広く奥深く知的能力を試すのに適していて、学力試験で測れない知的能力をあぶりだすことができる。

しばしば、小論文は、教科横断的な学力を測ることに適していると言われるが、小論文が測れることは、それだけではない。

教科横断的というよりも、教科を総合した、知的な認知能力や、知的な分析能力や、知的な判断能力や、知的な課題発見応力や、知的な問題解決能力を試すのに、よく適している。

小論文試験でまず試されるのは認知能力である。情報収集能力と言い換えてもよい。紙情報になるから読解力と言い換えてもよいかもしれない。

つまり、小論文や適性作文では、高い読解力がなければ、まずもってお話しにならないのだ。これは文系か理系かを問わない。

今春の大学入試共通テストで、数学1Aや数学2Bの低平均点が問題になったが、数学が苦手ではないのに低得点になってしまった受験生の多くは、読解力が低かったためだと、分析している。数学としての難易度は例年と大きく違いはないからだ。

読解力の低さには、読解スピードの遅さも含まれる。

いわゆる読解力が低いから、問題文を読み終わることにも、問題文の真意を読み取ることにも、時間がかかってしまったのだ。

読解力についてまとめると、全ての教科の能力は、読解力が高くないと高まっていかない。ここで言う読解力とは国語の読解力だけに限らないが、日本語で書かれた問題文だから、当然に国語的読解力からは逃げられない。

過去に何度か、国語力の低下について警鐘を鳴らしてきたが、そこは文部科学省も大学なども承知していて、国語力の低さが入学後の学業の成果に大きく影響するので、その点を入学試験でしっかり確認しようとする意図がハッキリしてきている。

小学校で英語が教科化されたこともあって、国語よりも英語の風潮が強まっているように懸念しているが、まずは国語であることに気がつくべきだ。

英語教育の専門家が口をそろえて唱えるのは、国語力(母語力)を越えて英語力(外国語力)を高めることはできないということだ。

国語力が低ければ、英語力も、そこまでになってしまう。

もっと言えば、国語力が低ければ、学力はそこまでとなってしまう。

だからといって、国語ばかり優先して学べば国語力がつくというものでもない。ある意味、国語力は総合学力と言えるかもしれない。

もちろん、語彙力の基本は国語として学んだ方が効果的であるし効率的なので、国語は国語としてしっかり学ぶべきであることは言うまでもない。

またお話しがながくなってしまった。

もうお気づきであろう。

入試で面接と小論文をともに課す楠隼中は、実は最強の入学試験を行っていることになる。

都立中など公立中高一貫校のほとんどは小論文(適性検査作文)を課すので、これは後に、大学入試や大学院入試や就職試験にもつながっていくことを承知して、早い段階から取り組む価値がある。

むしろ、小学校高学年になって、適性作文が書けないと、広い意味での学力が足らないことになるので、後で苦労することになりかねない。

面接は、もっと多くの機会で、もっと重要な局面で、人生を左右することになるので、これもまた早い段階から取り組む価値がある。

小論文や面接にも強い受験生や就活生こそ、新しい時代の勝者となるのだ。

ただ残念なことに、塾や予備校には能力の高い指導者がまだ少ないし、教科などと違って適切なテキストや教材もまだ少ない。そして、多くの受験生はどう取り組めばよいのかを分かっていないし、ほとんどの保護者はどう取り組ませればよいのかを分かっていない。

解法暗記やパターン暗記は、小論文や面接でこそ、役に立たない。

まあ、文部科学省も大学や学校も、そこを狙っているのだから、当然である。

定番のテキストや、定番のカリキュラムなど、小論文や面接でこそ、役に立たない。

そのことに早く気がつき、正しく対策した者だけが、真の勝者となれるのだ。


=お知らせ=

「募集停止期間」中に、募集基準と募集期限の改定を行います。

旧基準と旧期限のご案内には「R4」を頭につけて表示し、新基準と新期限のご案内には「R5」を頭につけて表示して、分かりやすくご案内します。

改定後には、都立中コースは、3つのコースに分ける予定です。

都立中合格コース:小4の10月まで募集
都立中チャレンジコース:小4の11月から小5の06月まで募集(コース定員に達していない場合のみ募集)
都立中ファイナルコース:小5の07月から小5の10月まで募集(コース定員に達していない場合のみ募集)

チャレンジコースとファイナルコースは、コース全体かつ教室全体で空席や定員に不足がある場合にのみ募集することとし、対策期間が十分に取れないことに対応して、募集基準を合格コースよりも厳しく設定する予定です。

また、それぞれの合格率目標を、次のように設定します。

都立中合格コース:合格率100%
都立中チャレンジコース:合格率50%以上
都立中ファイナルコース:業界平均を有意に上回る合格率

*都立中合格コースの合格率100%は、小石川や都立武蔵や桜修館や九段Bなどで継続中です。
*楠隼中合格コース(合格率100%継続中)も、都立中合格コースのように、3つに分ける予定です。
*中学受験合格コース(普連土や品川女子や高輪などで合格率100%を継続中)も、同様にします。
*大学受験合格コース(お茶の水大や東京都立大や上智大などで合格率100%継続中)は、斬新な設計で最強コースにします。

*募集基準と募集基準の改定前に体験授業のご予約をいただいた方は、改定前の募集基準と募集期限を適用いたします。
*募集基準と募集基準の改定後に体験授業のご予約をいただいた方は、改定後の募集基準と募集期限を適用いたします。