[2023年1月18日]
大学入試共通テストが終わり、いよいよ大学入試は本戦に突入する。
注目を集める、私立大学の「共通テスト利用方式」入試だが、共通テストの得点を使って合否判定をしてくれるので、試験会場まで足を運ぶ必要がなく(特に試験会場から遠くに住む受験生には便利)、受験料も概ね半額ということもあって、多くの大学受験生が利用する。しかし、これがなんとも怪しい入試制度で、「実質的な受験料没収システム」になっている。
まず、殆どの大学で共通テスト受験前に出願して受験料を払い込んでおかなければならない。
次に、募集定員が極端に少ない。総定員が500人なのに、共通テスト利用入試の定員は5人だけなどという大学(の学部や学科)もある。
このため、実力よりも2ランクか3ランク下に出願しないとほぼ合格できない。
必然的に、私立大学のその後の、全学部日程入試や個別学部日程入試など、共通テストではなく個別の学力試験で合否判定を行う入試で、2ランク下や1ランク上の私立大学から合格をもらう受験生が続出する。実質的に共通テスト利用入試の受験料は没収になる。
*個別学部日程などでも共通テスト併用入試など共通テストを合否判定の一部または実質全部に利用した入試を行う私立大学もある。
加えて、その後に、国公立大学の前期日程や後期日程、公立大学の中期日程や独自日程で合格をもらう受験生が続出する。実質的に共通テスト利用入試の受験料は没収になる。
合わせて、実態を知らずに実力相応の私立大学に共通テスト利用方式で受験した受験生は、まず合格できずに、実質的に共通テスト利用入試の受験料は没収になる。
ここまでは必要経費と割り切れたとしよう。
お守り代わりに、2ランクか3ランク下の合格を持って、第一志望や第二志望や第三志望の大学や学部に挑戦することができるからだ。
本当の恐ろしさは、この次から始まる。
合格した私立大学の入学手続きが次々に迫ってくるからだ。
30万円から35万円の入学金という名の没収金の締切りが次々と到来するのだ。
難易度の低い私立大学ほど入試日程が早く、難易度の高い私立大学ほど入試日程が遅い傾向にある。
早稲田大学や慶應大学などは、国公立大学の前期日程の直前まで入試日程が続く。その上で、入学手続きは国公立大学の合格発表の直前に締切られるという、実によく考えられた日程となっている。
ここから一般的に起こることを例示しておこう。
滑り止め私立大学に合格する → 入学金30万円を払込
第三志望私立大学に合格する → 入学金30万円を払込
第二志望私立大学に合格する → 入学金30万円を払込
第一志望私立大学に合格する → 入学金30万円を払込
地元国公立大学に合格する → 入学金30万円を払込
チャレンジ校の超名門私立大学に繰上合格になる → 入学金30万円を払込
ざっと、150万円から180万円が、入学金として没収される。
入学金は入学辞退しても返金されない。
返金されるのは、入学手続日(第二手続日の場合もある)に払い込んだ「授業料」だけである。しかも、すぐにではなく、しばらくたたないと返ってこない。
なんとか少しでも評判の良い大学に滑り込みたい受験生の場合、大学入学前に、受験料で50万円と、入学金で150万円の、合計で200万円くらいが必要になる。
その上で、私立大学理系学部に進学すると、初年度の年間授業料として年150万円ほどが必要になる。私立文系でも相場は年120万円である。
地方から一人暮らしで都会に出てくると、ワンルームマンションの年間家賃が年に100万円ほどかかる。
これとは別に、食費や光熱費や衣料費や交際費や通信費などを合計すると年間100万円ほどかかる。
都会に1人暮らししながら大学生活を送ると、よほど切り詰めない限り、授業料と合わせて、年間350万円ほどかかる。
受験料や入学金と合わせると、4年間で1,600万円ほどかかる。
続けて大学院に2年通えば、6年間で2,300万円かかる。
地方なら新築の戸建てが現金で買える。地方中核都市でもファミリータイプのマンションが現金で買えるかもしれない。
そう考えると、共通テスト利用入試で受験料が没収されても大した金額ではないし、入学金を募集されても大した金額ではないので、暴動は起きない。
言いたかったことは、私立大学に共通テスト利用入試で挑むなら、少なくとも2ランク下の、確実な滑り止め大学だけにしておくことをお勧めしたいということだ。
共通テスト利用入試で欲張らないこと。
欲張れば欲張るほど、受験料を没収されるだけになる制度だからだ。
にほんブログ村