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三田学院

[2023年2月4日]

【都立中】戦後処理

まもなく東京の中学入試日程がすべて終わる。

これから始まるのが合否結果を踏まえた「戦後処理」である。

私立中学受験では、適切な併願戦略を取ってさえいれば、実力相応以上の学校から最低1校からは合格をもらえるはずだから、合格をもらった学校の中で、最も強く入学を希望する学校に手続きを済ませれば、戦後処理は完了する。

私立中学受験では、強気一辺倒で受験校を組んだ場合、つまり挑戦校ばかりで併願を組んだ場合と、挑戦校に極端な安全校のみを組み合わせた場合は、つまり最適校を併願に適切な校数を組み入れなかった場合は、往々にして入学を希望する学校から1つも合格をもらえないケースがでてくる。

その場合、極端な安全校に入学するか、地元公立中学に進むことになるが、しばしばそのことを想定していない受験生親子がいて、戦後処理が紛糾する。具体的には、極端な安全校に進むのか、地元公立中学に進んで高校受験するのかで、なかなか話しがまとまらず、しかたなく極端な安全校に入学手続きを済ませながらも、家庭内で揉め(もめ)続けることになる。

都立中学受検では、適切な併願戦略で受験校を組んでいた場合は、私立中受験の前者のケースと同じになる。つまり実力相応の、都立か私立の学校に入学手続きをして、戦後処理は終えることができる。

しかし、都立中が実力相応校ではなく挑戦校であり、しかも極端な挑戦校となっていて、併願校は適性検査型の中低偏差値私立中学のみという場合は、結果は私立中学受験の後者の(残念な)ケースとほぼおなじになる蓋然性が高い。

ただ、残念なら地元公立中学へ進学することを、親子で事前に約束し、どちらからも絶対に反故にしないと、固く誓い合っていた場合は、入学先で紛糾することはないだろう。しかし、それで納得できるかどうかと、満足できるかどうかは、それぞれの親子で違ってくるだろう。

そもそも、都立中はすべてが難関進学校だから、憧れを抱いたり熱望しただけでは、どの都立中にも合格できない。ちょっとやそっと勉強が得意なだけでは、どの都立中にも合格できない。

この点が、幅広い難易度帯から受験校を選べる私立中学入試と、根本的に違う。私立中入試では、適切な併願さえ組めれば、どこかには合格できる。

都立中のどこかに合格できる力があれば、相応の難易度の私立中学からも合格がもらえる可能性が高いから、最終的に地元公立中学への進学を選択択しても、完全敗北のカタチで中学入試を終えなくて済む。

しかし、都立中のどこにも合格できそいにない受検生の場合は、都立中を第一志望にして併願を組むと、中低偏差値私立中からしか合格はもらえないだろうから、実質的な完全敗北で、中学受検を終えることになる。

こうした受験生は、都立中は潔く諦めて、第一志望も第二志望も第三志望も滑り止めも、全て私立だけで併願を組み、闘うべきだろう。

都立中を希望する保護者の中には、私立中の授業料が払えない人と、私立中の授業料を頑なに払いたくない人がいるのは、承知している。

その場合は、私立中学の特待制度を利用するのがよい。しかし、特待が取れるためには、実力よりも大幅に難易度が低い学校を受験しなければならないことを、覚悟しておかなければならない。

都立中なみの難易度の学校から特待をもらうのは、今や都立中に合格するよりも難しい。特待を取れるなら、ほぼ確実に都立中に合格できるから、この戦略は実質的に無効である。

まあ、実力試しや事前の練習にはなるから、挑戦してみる価値はあるが、生存戦略としての併願戦略には、適しているとは言い難い。

適切な本命校選択と、適切な併願戦略が、中学受験と中学受検の成功の鍵となる。

これは何度も申し上げてきていることだ。

大手塾の合格実績のために、大手塾から洗脳されて誘導されて、不適切な併願戦略を組んでしまい、一度きりの大切な人生を、台無しにしてしまうことがないようにと、切に願う。


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